エクスパッツ(Expats):Expatriate(s)の略。海外駐在者。
外資系企業のホームページを見ていると、社長の名前が明らかに外国人の名前だったりすることがありますね。外資系企業では、経営層に限らず、従業員に日本国籍を持たない人が一定数いることが多いです。では、外国籍の人はどのような経緯で日本支社で働いているのかというと、大きく分けて2つの経路があります。
1. 日本支社で採用された外国人。
2. 本社や日本国外の支社から、日本支社へ派遣された外国人。
1番は、いわゆる現地採用で、ローカル採用とも呼ばれます。ローカル採用は、日本人が日本支社に採用される時と同じで、日本の社会保険制度等のもとで働くことになりますので、日本人が日本の会社に勤めるのと同様です。今回取り上げる「エクスパッツ」は2番目の方になります。エクスパッツは社命によって各国支社に駐在し業務を遂行しますが、多くの場合、本社と各国支社の連携を強める目的で派遣されてきます。例えば、本国の方針を各国に浸透させる、本国と各国のコミュニケーションを強めるなど。日本の会社が、海外のグループ会社に駐在員を派遣するのと同様です。エクスパッツは、このようなミッションを負っている都合上、日本支社内に影響力を及ぼしやすいポジション:経営層、上位管理職クラスに派遣されてくることが多いです。外資系企業のホームページを見たときに、経営層に外国人が多いのはそのためです。
社命により各国へ派遣されるエクスパッツは、家賃補助をはじめ、子供の教育費など手厚い福利厚生を受けているといわれています。例えば子供を母国と同様の環境で教育するためにインターナショナルスクールへ入れるとすると、子供1人あたり平気で年間200万円ぐらいかかるわけで、これを通常の給与から支払っていたら破産ですしね…。これらエクスパッツ向けの福利厚生コストが日本支社にのってくる場合もあり、日本支社の財務状況におおいに影響を及ぼすこともあります。時々、「エクスパッツが母国に帰れば、結構コストが浮くんじゃないの…?」なんて思ってしまうこともありますが、まあこの辺は外資の宿命です。
日本の社会保険制度上、海外から社命で日本へ派遣されて働く場合、派遣期間が5年以内であればエクスパッツは日本の社会保険制度に加入する必要はなく、派遣期間内も母国の制度に継続加入することが認められています。(社会保障協定を締結している相手国に限る。日本年金機構HP)このような制度上の事情もあってか、エクスパッツは長期で日本支社に留まることは少なく、数年で帰国する場合が多いようです。
経営層や上司が外国人で、「なんとなくソリが合わない…うーん嫌だなぁ」と思っても、「まあ、エクスパッツはどのみち数年以内に母国へ帰るんだし」と思えば多少気楽に構えることができます。一方、経営層や上司が数年以内に入れ替わると、方針の変更や事務作業など業務が増えることもまた宿命。これは日本の会社で、人事異動で上司が変わって大変、というのと同じ。結局、どんな企業でも
「サラリーマンはつらいよ」
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