外資系企業のはなし②:本国〜絶対服従のラスボス

 

本国(ほんごく)  外資系企業におけるグローバルの本社。

本国(本社)は強力な意思決定権を持ち、各国支社は常に本国を強く意識して動く必要があります。

日本の企業においては、本社が日本であるため日本国内で意思決定を行うことができますが、外資系企業の日本支社はあくまで子会社のような位置付けです。したがって、日本支社内のみで行える意思決定は限られており、本国の承認を得ないと物事が進まない場合も多々あります。最初に本国を意識するのは、転職活動で採用面接を受けるときではないかと思います。もちろん、日本支社の採用なので日本で受けるのですが、ポジションによっては日本支社に所属する関係者だけでなく、本国の関係者や上司との電話面接を求められる場合があります。なるほど、本国の意向って重要なんだな・・・と、この時点で感じるわけです。

入社後も、上手に本国と連携しながら、仕事を進めていくことが求められます。そこで気をつけたいのが、日本支社にどの程度権限移譲が行われているかを見極めること。子会社である日本支社にとっては、本国は絶対的な上司ですから、本国の権限の範囲内に踏み込んでしまうと大変なことになります。その一方で、本国も限られた人手の中で各国支社をみているので、なんでもかんでも本国の承認を必要としてしまうと、本国側も支社側も仕事が回らなくなってしまいます。このような背景から、日本支社に一部の裁量が任されていることが多いです。このあたりは明確なルールが明文化されている場合もあれば、本国の上司のキャラクターによって変わる場合もあるので、周囲の同僚や上司にそれとなく聞いたり、過去の事例を参考にしながら空気を読んでやっていきます。日本企業で上司の性格や、部署の空気を読みながら仕事をしていくのと同じですね。

もうひとつ本国を意識するのは、本国からのビジターに対する対応です。本国と各国支社は国が違うのですから、当然地理的にも離れているわけで、日頃はなかなかface to faceのコミュニケーションを行うことができません。そこで年に1回くらい、本国のトップマネジメントが各国支社を訪問します。現地視察のようなものですね。本国トップマネジメントは上司の親玉のような方々ですから、彼らの来訪前は日本支社内は準備に追われます。本国のトップマネジメントに対しては、日本支社の経営層が対応するので、経営層や事務方が準備から当日の対応にいたるまで神経を尖らせるのですが、当然ヒラ社員にもとばっちりが降ってきます。本国のトップマネジメントに対してパフォーマンスを示せれば、昇進も見込めるので、そういう意味でも必死なのかもしれません。まあ、日本の会社でも社長や取締役の御前会議の前は皆準備で大わらわなので、それと同じですが、日本支社の社長が絶対ではなく、あくまで本国の社長がトップなのねー、と強く意識させられます。

また、本国のお国柄は企業風土にも影響してきます。外資系企業といってもひとくくりにはできず、それぞれの会社に特徴的なカルチャー(社風)があり、これは本国の慣習や国民性によって強く影響を受けます。例えば、解雇をどの程度厳しく行うか。米国系企業(特に、金融系)では、解雇が大変厳しく行われることで有名です。一方で、欧州系企業はそれほど解雇が行われないため、日本企業のような終身雇用とまではいきませんが、より日本に近い企業風土となっています。その他にも、ミーティングでどれだけ意見の対立や激しい議論を許容するか、会議の時間を正確に守るか、休暇をどの程度取るか・・・などなど、本国の風土があらゆる場面で影響を及ぼします。

というふうに本国との上下関係は非常に重要なのですが、本国と日本支社の力関係がどうなるかは、日本支社の業績で決まってきます。日本の業績が好調で、グローバルレベルの利益にかなり貢献できているのであれば、日本支社の発言権は強まりますし、場合によっては本国の意思決定にNoと言ったり、交渉して日本支社にとって有利な条件を引き出せる場合もあります。外資系企業への転職を考える際は、本国から見て日本市場がどのように捉えられているのか、日本支社の発言権がどのくらいありそうか見極めておくことが重要かもしれません。

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