小学校教員はワンオペ育児状態(前編)保護者から見た激務の実態

共働き家庭にとって、小学校入学は子供の成長を感じられて嬉しい反面、「小1の壁」と言われるように働く両親にとって大きな試練であると言われています。我が家も共働きのため、当然この壁にぶち当たったわけですが、「長時間預かってくれて働く両親に配慮してくれる保育園は素晴らしい。小学校は共働きに何の配慮もなく、事あるごとに保護者に手伝い要請があったり、連絡方法も今時紙ベースで合理化されていない。本当におかしい」という小学校批判をよく目にします。

我が家も初めはそう思っていましたし、いまでもそう感じることもありますが、学校の現状を知るにつれて、現状では仕方ないなぁと納得する部分も出てきました。小学校の先生があまりに激務で、働く両親に対して配慮する余裕などなく、決まった業務を前例通りにこなすだけで精一杯なことに気づいたからです。

学校教員はブラック労働

小学校の授業風景を見ていると、先生には全く余裕がないことがわかります。これはベテラン先生でも若手の先生でも同様です。授業中漢字の書き取りをさせている10分間の隙間時間に、連絡帳を書いたり、小テストの採点をしたりと僅かな時間でも仕事しないと追いつかない!という雰囲気がひしひしと伝わってきます。小学校の先生と話すと、朝は遅くとも7時半には出勤、学校から帰路につくのは21時頃になってしまうとのこと。昼食も給食の時間に生徒と一緒にとるので、生徒のケアをしながら昼食をとることになり、昼休憩もろくにありません。1人で30人の生徒を見ており、定常業務に加えて毎日体調不良、生徒間トラブルなどの突発事項に対応しなければなりません。仕事とはいえ、常に30人の子供に振り回される状態…これはワンオペ育児と似た状態だと思います。労働時間の観点からも、12時間超の労働が常態化しているわけで、ホワイトな職場とは言い難いです。こちらのニュース記事でも、文科省の教員勤務実態調査(2016)のデータをもとに、小学校教員の約1/3が過労死ラインを超えていると警鐘を鳴らしています。教員業務実態調査の元データを見ても、平日だけでなく土日にも業務をせざるを得ない状況や、持ち帰り仕事が常態化していることがわかります。ではなぜ学校教員は激務なのでしょうか。

業務の種類が多すぎる

本来、学校教員の主要業務は子供に勉強を教えることです。授業の計画・下準備や、テストの採点、質の高い授業を行うために研修を受けるなど、教えることに直結する業務に注力できるのが理想だと思います。しかし実際には、それ以外の学級運営に関連する問題解決や、雑用的な業務が多すぎて明らかに先生の業務時間を圧迫しています。

例えば、

①PTA関係の書類・提出物の窓口

PTAから配られる連絡(紙ベース)は、PTA→保護者に直接案内が来るのではなく、PTA→担任の先生→生徒→保護者のルートで来ます。保護者からPTAに書類を提出するときは、逆の経路:保護者→生徒→担任の先生→PTAとなります。PTAからの連絡をわざわざ担任の先生と生徒を通じて連絡する必要はないと思うんですよね。PTAの連絡と提出物回収は、PTAの仕事であって先生の仕事ではないのですから。もちろん、PTAは校長を初め教職員の方々と連携することにはなっているのですが、PTAとの連携は校長と副校長で行い、その情報を校内で校長、副校長→現場の先生に落とせば良いだけの気がします。なぜか担任の先生がベルマークの回収を行っていたりして、先生の貴重な時間が奪われているのを見るとやるせなくなります。

②地域イベントのビラ配り

学校と地域の連携を図るという目的なのか、なぜか担任の先生が地域のお祭りやスポーツチームの宣伝ビラを配布しています。このような情報は、街角の町内会の掲示板に貼ってあるようなものなので、先生の時間を使って学校で配布しなくてもいいと思うのですが。

③教材発注の連絡、集金の取りまとめ

授業で使う教材(楽器、書道セット、裁縫セット、絵の具セットなど)をまとめて購入する際、生徒経由で保護者に連絡し、購入希望者数をカウント。代金の集金まで行う。

④教室の掃除

もちろん子供達が掃除の時間に教室を清掃するのですが、子供達ができない部分の掃除は放課後に先生がやっているそうです…。

⑤クラブ活動の指導

高学年で行われるクラブ活動の監督、練習への参加など。

⑥生徒の健康管理に部分的に関わらざるを得ない

日本の義務教育では、子供の健康管理がしっかりと行われています。各種健診(内科検診、歯科検診)、各種検査(聴力、尿、視力など)が行われ、病気の早期発見と子供の健康状態の向上に貢献していますので、日本の学校における子供の健康管理は素晴らしいと思います。これら健康マネジメントは健康管理について専門性をもつ養護教諭が行っています。しかし、数百人の生徒を抱える小学校1校あたり養護教諭は1人。養護教諭ひとりで全校生徒の健康状態を随時把握することはできず、担任の先生が学校内の活動時に体調を崩した子供を見つけて、すぐに適切な対応をとることが求められてしまいます。担任の先生の専門は本来学業に関することであるにもかかわらず、専門性を大きく超える健康関連の初動対応まで求められるのはきついと思います。特に、最近は食物アレルギーを持つ子供が多く、担任の先生のミスが致命的な事態に繋がる可能性もあり、単純な業務量の増加だけでなく、精神的にも非常に緊張を強いられていると思います。

⑦学級内トラブルの解決と保護者との連携

学級運営に際しては、日々マイナートラブルが起こります。連絡がないが朝から欠席している、授業に集中できない子がいる、生徒どうしで物の取り合いや暴力があるなど。このような状況を放置すると、不登校、学級崩壊やいじめに繋がる可能性もあり、日々先生は対応にあたっています。生徒本人に対する指導のほか、保護者の協力が必要である場合も多く、連絡帳や電話で連絡する、面談するなど相当の工数が取られていると思います。

教員の業務量は効率化すればもっと減らせる、けど…

学習関連以外の上記業務のうち、①~⑤は担任の先生から完全に切り離せると思います。

①PTA関係の書類・提出物の窓口→PTAから直接各会員にメール連絡。

②地域イベントのビラ配り→やめる。もしくは授業参観の時に校内に積んでおき、興味のある保護者に取ってもらう。

③教材発注の連絡、集金の取りまとめ→保護者に各自amazonで買ってもらう。

④教室の掃除→清掃業者に外注する。

⑤クラブ活動の指導→専門のコーチに外注する。

もしくは、①~③のような事務作業を代行してくれるアシスタントを付ける方法もありますね。でも、現場はこういう効率化の方策を考える余裕がないほど忙しく、前例通りのやり方でとにかく回していくしかないという状況のようです。あとはコスト面の問題でしょうか。。。

⑥、⑦については、授業運営に直結する部分もあり、担任の先生が関わるべきだと思います。しかし、先生の事務作業がなくなり、仮に授業関連+⑥+⑦のみになったとしても、やはり先生の負担は大きく、状況は厳しいと思います。なぜならば、生徒を力(暴力)でコントロールせずに先生ひとりで30人以上の生徒をみなければならないからです。現在、体罰は厳格に禁止されていますので、昔のように力で服従させることはできず、以前よりも学級運営は難しくなっていると思います。

次回は解決策と保護者の心得について考えてみたいと思います。後編はこちら↓

小学校教員はワンオペ育児状態(後編)解決策と保護者の心得を考える

2018.05.14