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今日から東京・六本木の国立新美術館にて開催中の「トルコ秘宝展ーチューリップの宮殿 トプカプの美ー」へ行ってきました。日本ではまず見られない、絢爛豪華な宝石に彩られた装飾品の数々。美術展というよりも、宝石展を心ゆくまで見たような、なんともゴージャスな気分になれる展覧会でした。
オスマン帝国の権力を示す、美術品の数々
東ヨーロッパを席巻した、オスマン帝国の強大な権力
トルコ・イスタンブールにあるトプカプ宮殿は、かつて東ヨーロッパを支配したオスマン帝国の中心であった場所。絶対的な権力をもつ皇帝(スルタン)の支配の下、15世紀から400年にわたってこの地で栄えたオスマン帝国は領土を広げ、最盛期にはアフリカ・バルカン半島を含む地中海沿岸、紅海沿岸、黒海沿岸までもが勢力範囲でした。巨大な帝国には、世界中から目のくらむほどのきらびやかな財宝が集められ、いまもイスタンブールのトプカプ宮殿に残されています。本展では170点もの調度品、装飾品、絵画などが来日しており、美術品を通じてオスマン帝国の強大な権力をうかがい知ることができます。
巨大な宝石を使用した装飾品。ここはまるで宝石展のよう。
よく、自然科学系の博物館で巨大な宝石が展示されていることがありますが、こうした博物館級の宝石が惜しげもなく皇帝の装飾品に使用されているんです。下記は皇帝の玉座の上に吊るされていた吊るし飾り。(購入した絵葉書の写真です)
金でできた土台に、圧倒的な存在感を放つ緑色の宝石は、もちろんエメラルド。その周囲には真珠やダイヤモンドが散りばめられています。写真では大きさが伝わらないのですが、実物を見るとひとつひとつのエメラルドの大きさは5cmほどありそうです。これって値段がつけられないほど高価なのでは…。
これだけではありません。ほかにも短剣の持ち手部分が巨大なエメラルドでできている「エメラルド製柄の短剣」や、筆箱や鏡などありふれた日用品に至るまでルビー、ダイヤモンド、金、銀、水晶、象牙、翡翠…ありとあらゆる宝石類が埋め込まれています。巨大な宝石を大量に使った装飾品のオンパレードです。一体、総額いくらするものなんだろう…そしてどうやってこれほどの富を集めてきたのか?!
…私のような庶民には想像もつきませんが、当時世界を席巻したオスマン帝国と皇帝の強大な権力は、ひしひしと伝わってきました。
チューリップを探せ!
トプカプ宮殿の美しい意匠は、宝石だけではありません。チューリップの花は、オスマン帝国にとって重要なシンボルのひとつです。チューリップを表すアラビア語の文字を組み替えると、イスラム教の神の名となり、逆に読むと、トルコのシンボルである三日月(新月)を表します。つまり、オスマン帝国の宗教・国家の象徴と深い関わりを持つことがその理由です。
このような背景から、チューリップはトプカプ宮殿のデザインに多く使われています。宮殿のタイルや皇帝の衣装、各種調度品を見てみると、至るところにチューリップが見つかります。下記画像はチューリップが描かれたタイルです(購入した絵葉書)。赤いチューリップと青のコントラストが美しい。
展示室内でぜひ、チューリップのデザインを探してみてください。オスマン帝国において、チューリップがいかに特別なものであったかがよくわかります。
映像コーナーもチェック!
本展では、映像コーナーも充実しています。会場入口には5分間の4Kシアターがあり、トプカプ宮殿の全貌が解説されています。大迫力の映像で、トプカプ宮殿の壮大なスケールを体感できます。さらに、展示中盤にも座って見られる映像コーナーがあり、10分間の映像でイスタンブールやオスマン帝国の歴史・風俗が説明されています。
特に歴史の知識がなくても、この映像を見れば本展の展示品の背景がよくわかるようになっていて良かったです。時間に余裕のある方は、ぜひチェックしてみてください。
展覧会基本情報
トルコ至宝展ーチューリップの宮殿 トプカプの美ー
- 場所:国立新美術館(〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2 )
- 会期:2019年3月20日(水)〜5月20日(月)
- 公式HP:http://www.nact.jp/exhibition_special/2019/turkey2019/