(本記事は広告リンクを含みます)
私は伝統工芸品が好きです。その土地で得られる良質の素材を用いて、長年培われた確かな技術で、ひとつひとつ手仕事で丁寧につくられる伝統工芸品。気候や風土、生活習慣が密接に関連するなかで生み出され、使われてきたものには、日用品としての単なる機能性だけでなく、生活を豊かにしてくれる美しさが備わっています。
ただ、昔から作られている伝統工芸品が今の暮らしに合うかというと、必ずしもそうではありません。この工芸品はとても綺麗で好きだけど、日常的に使えないな…と思うものはなかなか購入に踏み切れず残念な思いをすることがよくあります。一方で、デザインや商品コンセプトを工夫して、現代の生活に気軽に採り入れられるよう工夫されている商品は、どんどん購入して生活の中で活用しています。
先日金沢へ行った際、まさにデザインの力で伝統工芸の魅力を最大化している老舗を見つけて嬉しくなりました。
大正2年創業の桐工芸品の老舗「岩本清商店」さんです。(公式サイト:https://www.kirikougei.com/)
外観はこんな感じ↑。「桐火鉢」という古い看板がかかっていますね。入店すると、職人の方が応対してくださり、桐工芸品について色々と教えていただけました。この建物は古くからある「町家」で、間口が狭く、奥行きが広い作りになっています。道に面した正面は店舗で、奥には工房があり、そこでひとつひとつ手作りで製品を作っているそうです。桐工芸品(特に火鉢)が金沢で盛んになった理由を職人の方に教えていただきました。
- 冬の寒さで木の年輪が詰まり、良質の桐材が手に入った。
- 桐は他の木材に比べて発火点が高く、燃えにくい。燃えたとしても炎が上がることはないため、火鉢に向いている。
- 桐は軽くて湿気に強いため、使いやすく、長期使用に耐える製品ができる。
なるほど。桐製品はいいことづくめですね。
卓上のまんまる火鉢:火鉢の新しい価値を創造
こちらの製品でデザインの力を感じたのが、卓上火鉢、まんまる火鉢。
火鉢というと直径50cmほどの、床置きのものを想像しますが、これは直径が20cmほど。暖をとるためではなく、テーブルの上でコーヒーポットを温めたり、チーズフォンデュをする時にチーズを保温するような使い方をするものです。こういう火鉢を卓上に置いて使うと、とても暮らしが豊かになりますよね。暖房方法が変わり、火鉢が生活必需品ではなくなる中、火鉢の新しい価値を提供していて素晴らしいと思います。そしてデザインもいい!全面には天球儀のような星座の蒔絵が施されています。火を入れて使わなくても、装飾品として飾ったり、小物入れとしても使えそうです。
ちょこっとトレー:こだわりの木目そのものがデザイン
もうひとつは「ちょこっとトレー」。縦 12cm、横24cm、厚さ 1cmの角型トレーで、コースターを横に細長くしたような感じ。
表面の仕上げはツヤありとツヤなしがあります。私はツヤありを購入したのですが、表面の光沢が光を反射し、木目の凹凸が引き立ってとても美しく、見ているだけでうっとりしてしまいます。この艶は桐の表面をバーナーで炙ったあと、磨いた時の摩擦でツヤ出ししているそうです。木目が美しく出るよう、ひとつひとつこだわって作っておられます。木目もデザインのひとつなんですね。
持ってみると、見た目の重厚感に反してとても軽い!これは扱いやすそうです。自宅でおやつ時に、コーヒーとチョコを食べる際に使ってみました。
このトレーがあるだけで器や食べ物が引き立ち、とても優雅なひとときが過ごせます。わずかながらネットでも取り扱いがあるようなのですが、金沢へ行く機会があれば、ぜひ店舗で商品を手にとってみて、ひとつひとつ違う木目のデザインから自分のお気に入りを選ぶことをお勧めします。
金沢桐工芸 岩本清商店
営業時間:10:00-18:30(火曜定休)
HP: https://www.kirikougei.com/
所在地:〒920-0845
石川県金沢市瓢箪町3-2
Tel: 076-231-5421[/col2]