(本記事は広告リンクを含みます)
早いもので、今年もあっという間に師走です。1年頑張った自分にご褒美をあげたくなる時期、ぴったりの展覧会が国立新美術館で2019年12月16日まで開催されていました。カルティエ「時の結晶」展です。一部の展示は撮影可能なので、スマホやカメラをお忘れなく。(掲載写真は全て撮影可能エリアで撮影)
1.「時の結晶」の意味は?
カルティエと聞いて何を想像するか?わたしが真っ先に思いついたのは時計だったので、タイトルから想像して時計展なのかな?と思っていたら、まったく違うコンセプト。カルティエのジュエリーを創造する、卓越した技術力とイノベーションの力を余すところなく展示する展覧会だったのです。
ジュエリーは「時の結晶」。
言われてみれば、確かにその通り。宝石は何万年、何億年という地球の営みのなかで生まれました。だから宝石は地球の歴史そのものを投影しているのです。そしてそれらを集め、再構成し、人を魅了するジュエリーに仕上げるには多くのハードルが存在します。その課題を超えるための技術が垣間見える展覧会なのです。
2.カルティエの技術力とイノベーションの源泉とは?
百聞は一見に如かず。まずはため息が出るようなジュエリーの数々をご覧あれ。
ひとつひとつの宝石の輝きが強すぎて、うまく撮影ができないほど。非日常空間で、目がチカチカしてきます。デザインと作品としての美しさに目を奪われるのですが、そのウラには素材の特性を研究し尽くす技術力があるのです。このデザインを実現するにはこの素材、この技術…というふうに適材適所を行い唯一無二のジュエリーを生み出しています。それにしても色、形、輝きが揃った原石をこれだけの数集めるだけでも大変そうですが、さらに石の表面に彫刻を施したり、薄く削ったり、もっとも美しく見える角度で固定したり…想像するだけで気の遠くなるような作業です。
そしてカルティエのデザインは、さまざまなインスピレーションから生み出されます。偶発的なアクシデントから生まれたデザインもありますし、世界の様々な地域の意匠も着想の源です。日本のモチーフもありました。
他には、中国やインド、アフリカのデザインも。創業者のルイ・カルティエは各地の文化的資料を蒐集し、ジュエリーデザインに反映させました。「カルティエ・アーカイブ」の展示には、日本の浮世絵の資料も。世界トップのジュエリーメゾンが日本文化の影響を受けている、と思うとちょっと誇らしいですね。
わたしは庶民なので、展示作品のうち多くが「個人蔵」とあるのを見て、「こんなジュエリーを所有できる個人っていったい…?!」と思ってしまいました。オーダーするだけでも天文学的な金額になるでしょうし、保険もかけなきゃいけないだろうし…。どんな人が持ち主なのでしょうか?デヴィ夫人?
3. 無料の音声ガイドはユーザーフレンドリーなスマホ型!
美しいジュエリーと、それを生み出す技術力に圧倒されたわけですが、本展でひときわキラリと光ったのはスマホ型音声ガイド。初めて見たんですが、これがものすごく使いやすかったのです。しかも無料で借りられるなんてお得すぎる。
軽い、小さい、見やすい
展覧会によく出かける人なら、一度は会場で従来の音声ガイドを借りたことがあるはず。あの有料音声ガイド、ハッキリ言って使いにくくないですか?首からかける大きな機械で、ボタンを押すと音声解説が再生されるアレです。首からかけられるようになっていますが、重すぎて肩が凝ってしまいます。追加料金(だいたい500円くらい)を払って苦行をしているような気分だったのです。音声を再生するだけの機械だし、もっとコンパクトに軽量化されるといいのに…と常々思っていました。
本展では、スマホの音声ガイドだったので度肝を抜かれました。スマホサイズなので超小型。ポケットにも入れられて軽いので、ほとんど重さを感じません。当然ながら液晶画面もキレイ、必要に応じて表示する文字サイズを大きくできます。
自動で解説を再生
さらにテクノロジーを感じたのが、自動再生。会場での鑑賞者と展示作品の位置情報を認識し、音声解説がある作品に近づくとバイブレーションで通知があり、自動で音声が再生されます。もちろん手動でも聞けますが、勝手に再生してくれるのは手間が省けて、展示に集中できるのでとてもありがたい。
展示作品リストがスマホの中に!
わたしはいつも会場で展示作品リストをもらって、リストと作品を照合しながら展示を見るのですが、美術館の展示会場は総じて暗い。作品保護のため、あるいは効果的な展示のために仕方がないのですが、せっかくリストをもらっても手元が見えない、なんてことも。カルティエ展も展示会場がほぼ真っ暗なのですが、スマホの音声ガイドに画像つき展示作品リストが入っているので、スマホ画面と展示を対応させつつ、展示のキャプションを確認できます。ユーザーフレンドリーで素晴らしい!
この音声ガイドは、他の美術展でも導入して欲しい!と思えるほど画期的なものでした。
一般人にはなかなか手の届かないカルティエのジュエリーが一か所に集められ、じっくり見られる展覧会は、なかなかないのではないでしょうか?これからの時期、六本木のイルミネーションとセットで訪れるのもおすすめです。
会期:2019年10月2日〜12月16日<終了>
会場:国立新美術館
公式サイト:https://www.nact.jp/exhibition_special/2019/cartier2019/