一生に一度は見たい日本の国宝100選:都道府県別国宝ランキングが意外だった話

新型コロナウイルス肺炎の影響が世界中に広がり、各所に影響が出てきています。感染を防ぐために仕方がないこととはいえ、美術館や博物館、展覧会なども閉館になってしまい残念…。可能な限り外出も控えたほうが良さそうなので、週末も自宅に籠る生活に突入しています。こういう時こそ普段なかなかできないことをすればいいか、と美術館や博物館へ出かける代わりに本やネットで情報収集をしています。

まずは2020年1月21日に発売された「一生に一度は見たい日本の国宝」100選。


美術館などでキャプションに「国宝」の表示があると「おおっ!これが国宝か~」とありがたくじっくり見てしまいますが、「そもそも国宝とはどんなものか」って詳しく知らないなあと思ったので入門編として購入してみました。

そもそも国宝って何?

国宝の定義は、「重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるものを国宝に指定することができる」とのこと。つまり重要文化財のうち、特に優れたもの。なるほど。いきなり国宝に指定されるわけではなく、まずは重要文化財に指定されたうえでその中から選び抜かれたものが「国宝」なわけですね。そして日本文化に限らず「世界文化の見地から価値が高いもの」なので、外国の文化を象徴する貴重な遺産も対象です。ということは、日本の国宝を見ておけば、日本に現存する世界的に高い文化的価値を持つものをまとめて見られることになります。

本書によれば、国宝に指定される要件としては

  •  美術品として優れていること
  •  時代の特徴を典型的に備えていること
  •  保存状態が良いこと
    ※ 同時代の同ジャンルのものがない場合は、希少性が評価される

とのこと。この条件に該当するものが新しく発見されたり、既に見つけられているものでも関連文書などの発見によって歴史的重要性が再評価されたりすれば国宝になりうるということになります。2019年12月現在では重要文化財は1万3276件あり、そのうち 1121件が国宝に指定されているようですが、では国宝は増える一方なのかというと必ずしもそうではないようです。本書には国宝が減ることもあり得るという記述があり、意外でした。その一例が、法隆寺金堂壁画です。旧国宝に指定されていた法隆寺金堂壁画は、1949年模写作業中の出火で失われてしまいました。焼け跡に残った焼け焦げた壁画は国宝指定されないまま現在に至っています。つまり国宝がひとつ減ったのです。

法隆寺金堂壁画のように、焼損して美術品としての価値や良好な保存状態が損なわれてしまうと国宝が減ってしまうこともある…文化財保護は重要ですね。2019年10月に起こった首里城火災や、フランス・パリの世界遺産、ノートルダム大聖堂の火災(2019年4月)など、防火技術が進んだ現在でも文化財保護はまだまだ難しいのだと痛感させられます。この二つの事件で、文化財は不慮の事故でいつ失われてもおかしくないと思うようになりました。日本の国宝も、見られるうちに見ておかねば…。

都道府県別国宝数、トップは意外にも…

見られるうちに国宝を見に行くぞ!と意気込みを新たにしたところで、さて何から見ておこうかと本書をめくっていると、「都道府県別国宝数ランキング」なるものが。きっと京都や奈良が多いだろうから、都内在住のわたしとしてはなかなか国宝にはお目にかかれないだろう、と思っていたら驚きました。都道府県別国宝数(2019年12月現在)のトップは東京都だったのです。

1位:東京都(281件)
2位:京都府(234件)
3位:奈良県(203件)

「一生に一度は見たい国宝100選」(宝島社)より引用

京都&奈良に多いのは納得ですが、それよりも東京の方が所蔵数が多いのはなぜ?と思っていたら、カラクリがありました。東京国立博物館(愛称はトーハク)です。ここには国宝・重要文化財をはじめとした大量の文化財が所蔵されており、トーハクの所蔵数が東京都の国宝数を押し上げているとのこと。さすがだなトーハク…。トーハク の常設展示室には国宝室があり、月替りでいろいろな国宝が展示されているな〜と思っていたら、そういうことだったんですね。入れ替わり立ち替わり展示できるだけの国宝所蔵数を誇っていると…。
(ちなみに国宝室の展示予定:https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1255
わたしは今年、トーハクの年間パスポートを買ったので、展示替えごとにトーハクへ行くだけでもかなりの国宝が見れるということになります。(トーハクの年間パスポートを買うにあたって検討したことはこちら↓)

東京国立博物館の年間パスポートが超おトク。ストレスフリーにトーハクを楽しもう

2020-01-14

コロナウイルス騒動がおさまったらさっそく行ってみようと思います。

本書によれば、国宝指定を受けるにあたっては「努めて公開することが求められる」そうなので、トーハクに限らず所蔵している団体では定期的に公開されています。例えば、本書に掲載されていた東京都内で見られる国宝は下記の通り。

  • 漁村夕照図 (根津美術館)
  • 伴大納言絵巻 (出光美術館)
  • 雪松図屏風 (三井記念美術館)
  •  源氏物語関屋及澪標図(静春堂文庫)
  •  燕子花図屏風 (根津美術澔)
  •  曜変天目(静嘉堂文庫美術館)
  •  志野茶碗(三井記念美術館)

国宝めぐりを目的に、都内のミュージアムを回ってみるのもいいなと思いました。コロナウイルスさえなければすぐにでも行くのに…。
本書では東京都内だけでなく、各地に点在する「これはぜひ見たい!」と思える国宝の紹介が満載です。外出自粛要請が出る中、旅行やイベントがキャンセルになったり、美術館や博物館へ行けなくなってしまったりした方も多いと思います。こんな時こそ、コロナウイルス収束後に行きたい場所の情報収集をして英気を養いましょう。

「一生に一度は見たい日本の国宝100選」はどの国宝に会いに行こうかな?とあれこれ考えるのにぴったりのガイドです。こんな時だからこそぜひ。

一生に一度は見たい日本の国宝100選