おいしい水出し緑茶の作り方を実験してみた

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水出し緑茶がおいしく作れない問題

昨夏、ペットボトル入りの水出し緑茶を買ってみて美味しかったので、かねてから自宅で作ってみたいなあと思っていました。今月に入って暑い日が増え、そろそろ水出し緑茶が飲みたくなってきたので、思い切って専用のティーボトルを買ってみました。

購入したのはHARIO フィルターインボトル 300mlサイズです↓

外箱、本体のデザインが秀逸で、強力なブランド力を感じます。デザインだけでなく使い勝手も最高。上部の緑色のシリコン部分がガラス本体と取り外せるようになっており、シリコン部分にパッキンはなく、溝の部分をガラス本体の口にはめこむようになっています。部品は本体、茶葉を濾すフィルター、シリコン製の口栓、シリコン製本体カバーのみ。細かいパッキンなどの部品がないので、とても洗いやすいです。しかも全ての部品が食洗機OKなので、使用後食洗機に突っ込めばいいのですごくラク。

さて。水出し緑茶の作り方がよくわからないのでとりあえずネット検索してみると、茶葉に水を入れて、3時間~6時間程度冷蔵庫で浸出するという記事が出てきたので試しに6時間冷蔵庫に置いてみました。しかし…

あまりおいしくなかったんです。。。

特に苦味が強いのと、長時間放置したからか出枯らしのような味がして。せっかく専用ティーボトルも買ったし、なんとかおいしい水出し緑茶が飲みたい。でも、茶葉の量、水の温度、浸出時間まで検討していたら夏が終わってしまう…。そこで、大学などの研究機関で水出し緑茶の効果的な浸出方法や、成分分析の研究が行われているかどうか探してみました。すると、ありました!鹿児島女子短期大学、鹿児島純心女子短期大学の先生が書かれた論文、「水出し緑茶における浸出時間と嗜好性および溶出成分量との関係」(福士山ら、日本家政学会誌 50(1)63-68, 1999)です。

この研究では、専門店・百貨店・スーパーマーケットで購入した茶葉A~G7種類について、茶葉1gに対して100mlの冷水を加え、冷蔵庫で5分、30分、2時間、10時間置いたとき、茶葉に含まれる成分がどの程度出てくるか、味はおいしく感じられるかを検討しています。特にアミノ酸(旨み成分)、タンニン(苦渋味成分)、カフェインに注目して、もともとの乾燥茶葉に含まれる量の何パーセントが抽出されるかという分析データを取っています。このように、一般人が求めている情報を科学的に研究してくださっているのは素晴らしいですね。おいしい水出し緑茶を飲むには、旨味成分が多く抽出され、苦渋味成分が少なく抽出される条件を探す必要がありますから、そういう観点でデータを見ていくと…

下図は私が論文データをグラフ化したものです。横軸が冷蔵庫内に置いた時間、縦軸が茶葉に含まれる各成分総量のうち何パーセントが抽出されたかを示しています。(クリックすると拡大画像が開きます)

茶葉の種類にもよりますが、旨味成分であるアミノ酸は時間経過とともにすぐに茶葉から溶出され、2時間後には約75%が出てきます。一方、苦渋味成分であるタンニンは時間経過とともに溶出するものの、スピードはゆっくりで、2時間後でも25%程度しか出てきませんが、10時間後だと茶葉によっては60%程度出てきてしまうようです。私が水出し緑茶をつくったとき、6時間後に苦かったのはタンニンが多く出てきているからだったんですね。ちなみに、カフェインは中程度のスピードで溶出されるようです。

これを踏まえると、旨味成分であるアミノ酸が多く、苦渋味成分であるタンニンが少ないタイムポイントは30分~2時間の間(図のグレーの部分)であるということになります。この研究では、学生と農水省野菜・茶葉試験場の職員によるおいしさの評価も併せて行っており、やはり30分~2時間のものが好まれている結果でした。私が6時間も放置していたのは、長すぎだったんですね…。

実際にやってみた


ということで、この論文とできる限り同じ条件でやってみることにしました。茶葉は全く同じものを使うことはできないので自宅にあったものを使いました。こちらの茶葉、裏面に水出し緑茶の作り方がかいてありますが、急須に冷水を入れて3分とのこと。あれっ、論文と違う…まあ3分でもやってみよう。

冷蔵庫で冷やしたミネラルウォーター300mlに対して、茶葉3gをはかって入れました。冷蔵庫に入れてしばし待ちます。3分後、30分後、2時間後の写真が↓です。

茶葉のパッケージの条件(3分)ではほとんど水でした。味がしない…。30分後になると、爽やかな緑色になってきますね。30分後のものは、個人的には少し味が薄いと思いましたが、甘みは強く感じました。2時間後は、鮮やかな緑色になり、苦味と甘みのバランスが両方楽しめました。味覚には個人差が、茶葉には個体差があるのでケースバイケースですが、やはり30分~2時間の間においしく飲めるポイントがあるようです。

結論

  • 水出し緑茶を作る際には、茶葉に冷水を加えて30分~2時間冷蔵庫で冷やして浸出する。出来上がった後、茶葉を除去しておくと時間をおいても苦味が強くならずに同じ味が楽しめる。
  • 苦味の強いお茶を好む場合は時間を延長する。
  • カフェインを摂りたくない場合は、できるだけ浸出時間を短くする。

ふう。これで今年の夏は自家製の水出し緑茶がおいしく楽しめそうです。