ロンドン・ナショナル・ギャラリー展:巨匠の名作揃い踏み!コロナの憂鬱を吹き飛ばす大型美術展。

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今年3月3日から東京・上野の国立西洋美術館で開催予定だったロンドン・ナショナル・ギャラリー展。新型コロナウイルスの影響で、2月中に展示自体は完成していたにもかかわらず、会期変更を余儀なくされてしまったという悲しい経緯がありました。それでも所蔵元との粘り強い交渉の末に会期が変更され、6月18日~10月18日の期間で公開されています。ありがたいことです。終了間際になってしまったのですが、先週ようやく行ってきました。

リニューアルした上野駅公園口

リニューアルした上野駅公園口

ふだんなら上野にはよく来るのですが、コロナの影響で上野は9ヶ月ぶり。いつの間にか上野駅の出口が移動して、公園口が国立西洋美術館のすぐ近くになっている…!そして横断歩道を渡る必要がなくサクサク美術館ゾーンへ進める…!公園口が移動したので、雨の日でもあまり濡れずに国立西洋美術館へ入ることができました。

入館には日時指定予約券が必要

コロナ禍の中での定番となった日時指定入場制。国立西洋美術館でのチケット販売はなく、公式サイト(https://artexhibition.jp/london2020/tickets/)からの日時指定入場券の購入が必須となっています。

わたしはスマホで表示できるタイプのチケットをイープラス経由で購入しましたが、会員登録&スマホアプリのダウンロードが必要でちょっと面倒…。でも、当日会場でスマホのQRコード画面を見せればすぐに入れるのはとてもラクでした。東京での展示は今週末で会期終了ですが、まだチケット残っているのかな~と思いきや、すでに最終日まで完売していました…危ない危ない。日時指定予約制になったことで、会期終了間際に駆け込むのが難しくなりましたね…。予約が1週間遅ければ、危うく行けずに終わるところでした。行きたい展覧会は早めに予定を組んでおかないと、予約いっぱいで見られない、ということになってしまいそうです。今後は気をつけよう…。

このご時世、感染リスクが気になり会場で音声ガイドを借りたくはなかったので、スマホ版音声ガイドを使ってみました。これが本当に快適でよかった!

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ゴッホ、フェルメール、モネ、ドガ…巨匠の名作が一同に

やはり本展一番の目玉は、ゴッホの「ひまわり」でしょう。全部で7点(うち6点が現存)の「ひまわり」のうち、ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵のものは「ヴィンセント」のサインが入っており、当時同居していたゴーギャンも認めた作品とのこと。本展で初来日なのだそうです。

ゴッホの「ひまわり」は、新宿のSOMPO美術館に所蔵されているものを見たことがありますが、SOMPO美術館所蔵作品と比べてロンドン・ナショナル・ギャラリーの「ひまわり」は花の中心部の茶色味が濃く、絵の具の凹凸が力強く感じられました。背景の色味は明るめで、全体的に明るい印象です。

背景は黄色、花びらも黄色、花瓶や背景も黄色…。でも、ひとつとして同じ黄色はなく、さまざまな色彩が画面で競演しています。いつまででも見ていられる、魅力的な作品でした。画集で何度も見たことはありますが、やはり実物は良いですね。表面の質感や筆遣いを見ること、作品が放つオーラを感じることなど、実物を目の前にしなければ絶対に経験できないことはたくさんあります。コロナの影響で日時指定予約制になっているので、「ひまわり」前のスペースもさほど混み合うことなく、ゆったりと見られました。

それだけではありません。2018年には大規模なフェルメール展が行われ、フェルメール作品35点中9点もが東京で見られたばかりだというのに、本展でまたフェルメールの作品が来てくれました。「ヴァージナルの前に座る若い女性」です。ありがたや…。(画像は公式サイトにあります)

見た瞬間、あれっ?と思いました。暗い、光がない…というのが第一印象。フェルメールの絵は左側に窓があり、そこから光が差し込んで室内や人物が明るく照らされている…という固定観念があったので、キャプションを見るまでフェルメールの絵だとは気づきませんでした。画面左端に窓があり、右側に女性がいることは他の作品と同様なのですが、窓が閉じていて左側からの光は遮断されており、正面から弱い光が当たっている様子が描かれています。鮮やかなフェルメール・ブルーではなく、くすんだブルーの色味。本作は最晩年の作とのこと。作風が変化する過渡期だったのでしょうか。

そのほかにもモネの「睡蓮の池」、ドガの「バレエの踊り子」、ルノワール 、ベラスケス、レンブラントの自画像…など巨匠の作品が勢揃い。18世紀イギリス上流階級の外遊土産として重宝された風景画や17世紀の肖像画など、見どころが盛り沢山。こんなに多くの作品が日本に来てくれるなんて、本当に感動です。

海外作品の美術展はしばらく見納めかも?!

新型コロナウイルスの影響で、海外の美術館から作品を借りるのが難しくなっているようです。今年予定されていた海外作品の美術展でも、中止・延期になっているものが散見されます。欧米諸国での感染者数は急増していますし、海外作品が来日する機会はしばらく減ってしまうのかもしれません。

本展クラスの大型美術展に行くと毎回「なんて貴重な機会!!」と思っていましたが、こうなってくるといつも以上に価値ある展覧会だと感じられてきます。ふだんなら「いつか所蔵元のロンドン・ナショナル・ギャラリーに行ってみようかな~」と気楽に考えたりするのですが、正直今は「自由に海外旅行できるようになるのは、一体いつになるんだろう…?」と暗澹たる気持ちになります。そんな中でも作品を日本で公開してくれたロンドン・ナショナル・ギャラリーと国立西洋美術館、関係者の皆様に感謝しつつ、名画の数々をしっかりと目に焼きつけたのでした。

本展入口にある撮影スポット。

本展入口にある撮影スポット。

【ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 開催概要】
[東京展]

会期:2020年3月3日~2020年6月14日
※新型コロナウイルス肺炎により、下記のとおり会期変更:
2020年6月18日~2020年10月18日<終了>
会場:国立西洋美術館
特設サイト:https://artexhibition.jp/london2020/

[大阪展]

会期:2020年11月3日(火)~2021年1月31日(日)
会場:国立国際美術館(大阪・中之島)
特設サイト:https://artexhibition.jp/london2020/
※入館にあたっては、日時指定予約券の購入が必須です。