ディズニーシーの新アトラクション、「ソアリン」はフライトミュージアム。ディズニーが博物館を作るとこうなった!

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「あ~、空を自由に飛べたらいいのになあ…」

誰もが一度は、こう思ったことがあるのではないでしょうか?子供の頃、空を自由に飛ぶ鳥に憧れたり、寝ているときに空を飛ぶ夢を見たり…。そんな人間の空への憧れを凝縮したような新しいアトラクションが東京ディズニーシーにあります。

2019年7月にオープンした最新アトラクション、ソアリン・ファンタスティックフライト。オープン当初から爆発的人気で、待ち時間は3~4時間に及ぶことも。優先的に短い待ち時間で乗車できるファストパスは、開園後30分以内に発行終了となることもしばしばです。CMなどで流れている通り、空を飛んで旅する体験ができるアトラクションとして大人気となっています。先日ディズニーシーに行く機会があり、かろうじてファストパスをゲットして乗ってきました。開園2分後の朝8時2分に入園して、即座にスマホアプリを起動、17時半〜18時半の時間帯のファストパスがやっと取れる状況。爆発的人気にびっくりです。

ソアリンのコンセプトは「飛行博物館」。博物館の展示と、飛行体験を楽しむアトラクションです。乗り物としての質もさることながら、建築や内装、待機エリアの展示品などが博物館として見ても素晴らしかったので、ディズニーのクリエイターたちが生み出したイマジネーションあふれる博物館の魅力についてまとめたいと思います。これを読めば、きっと長い待ち時間も楽しめるはず。

※ライドの内容については乗ってみるまでのお楽しみということで触れていませんが、建物内の展示について記載していますのでご注意ください。

1. ソアリン・ファンタスティックフライトのコンセプト

自由に空を飛ぶことを夢見てきたイタリアの女性、カメリア・ファルコ。彼女は世界中の伝説・空を飛ぶ生き物などからアイデアを得て、様々なチャレンジと研究の末、世界中を飛行して旅することができるドリームフライヤーを開発しました。彼女の功績を讃え、現在この建物は博物館(ファンタスティック・フライト・ミュージアム)として公開されており、カメリア・ファルコ生誕100周年記念特別展が行われています。訪れたゲストは学芸員であるキャストに案内され、博物館の展示を鑑賞した後、ドリームフライヤーで飛行する体験をすることができます。

2. ファストパス専用エントランスの展示

ソアリンでは、通常の待ち時間で並ぶスタンバイの待機列と、時間帯予約をして優先的に少ない待ち時間で乗車するファストパスの待機列が入り口で分かれています。私はファストパス専用入口から入りました。雰囲気としては博物館の裏口から入るような感じ。建物右側にある細い通路を通って行きますが、その壁面には伝説上の空飛ぶ神々や生き物のレリーフがあります。例えばこれは、ギリシャ神話に出てくる太陽神アポロン。空飛ぶ太陽の戦車を駆って日の出から日没までの太陽の動きを司ります。アポロンは音楽の神でもあるので、手には竪琴を持っています。

小さなドアから入ると、そこにはチョコレート色のゴージャスな壁紙に彩られた重厚感あふれる木の階段があります。この階段を降りて乗車エリアに進んでいきますが、壁にはたくさんの絵画が展示されています。博物館が建てられるまでのプロセスや、設計図、そして博物館に世界中のゲストを迎えている様子などが描かれています。

年代設定を見ると、例えばこの絵では1881年にハワイからのゲストを迎えたとありますので、その時代に私たちはタイムスリップしていくことになります。

3. 圧巻のホールは、人類の空への憧れとイマジネーションを凝縮した空間だった

そして、さらに通路を進んでいくと、ファストパス・スタンバイ共通の待合スペースであるホールに到着します。高いドーム型の天井で覆われたこの空間には、中央に古代エジプトのオベリスクがそびえ立ち、壁面と天井に世界各国の空を飛ぶ人間や動物、架空の生物などが描かれています。

飛行博物館なのだから、飛行機の模型などが展示されている空間なのかなぁ~と思っていたら、全く違うコンセプトでした。イタリアを代表する芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチが設計したヘリコプターの展示など普通の博物館のような展示もありますが、ディズニーは一味違います。実際に実用化されている飛行機に関する展示はほとんどなく、むしろ神話や伝説上の空飛ぶ登場人物・生き物などの展示ばかりです。

例えば、忍者が風呂敷を両手両足に持って飛ぶ「忍法・ムササビの術」や、天狗がうちわを使って飛んでいる様子、架空の生き物である羽の生えたライオン・グリフォンなど、伝説や伝承を含めたありとあらゆる空飛ぶモノがここに集められています。古代エジプト、中国、ヨーロッパなど、地域や時代もさまざま。もちろん、日本のモチーフやアーティストに対するリスペクトも忘れていません。例えば、日本の文化である和凧が壁面に展示されており、その柄は有名な浮世絵の東洲斎写楽のものになっています。

そして隠れミッキーもあるので、細かなところまで見るために双眼鏡などを持っていくとさらに楽しめるかもしれません。

それにしてもなぜ、ディズニーのクリエイターたちは伝説上のものを多く集めたのでしょうか?

ソアリンのキャッチフレーズは、英語で”Let your imagination soar!”。”soar”はアトラクション名”Soaring”(ソアリン)にも使われている英単語で、「空高く舞い上がる」と言う意味。したがって”Let your imagination soar!”を日本語に訳すと、「君のイマジネーション(想像力)を羽ばたかせよう!」となります。このキャッチフレーズから想像すると、ホールの展示でディズニーが表現したかったことは「イマジネーションのチカラ」なのだと思います。世界中のあらゆる地域や時代で空飛ぶ物語・伝説や神話が生み出されているのは、そのまま人類の空に対する憧れの強さを表しているのです。そして空を飛びたいと願う人間のイマジネーションは、熱気球や飛行機などの発明につながっていきます。「画期的な発明は、強いイマジネーションがあってこそ実現するのだ」というディズニーのメッセージが伝わってきます。

この空間でアトラクションへの乗車を待つ間に、自分自身が生活の中ですっかり忘れてしまっていた「自由に空を飛べたらなぁ」と言う憧れを思い出していくのです。

4. 乗車直前にあるミュシャ風の絵もお見逃しなく!

長い待ち時間の最後には、縦長のポスターが迎えてくれます。ここからようやく乗車になりますが、これは「カメリア・ファルコ100周年記念展」の宣伝ポスター。チェコの有名な芸術家・ミュシャの絵を彷彿とさせるもので、アーティストに対するディズニーのリスペクトが伝わってきます。この絵から先のエリアは撮影禁止なので写真はありませんが、この先の部屋にもたくさんの展示品があり、ディズニーのイマジネーションが詰まっていますので、ぜひチェックしてみてください。

5. いざ、ドリームフライヤーに乗車!

ドリームフライヤーに搭乗するとどんな体験ができるのかは記載しませんが、1つだけ言えることは、アトラクション終了後にすべてのゲストから拍手がわき起こるほどすばらしい体験だったということです。私は感動で涙が出ました。そして乗車した後、自分の心の奥底に眠っていた「自由に空を飛びたい」という願いが満たされ、なんとも幸せな気分になったのです。非常に待ち時間が長く大変ですが、それだけの価値があるアトラクションだと思います。あ〜もう一度乗りたい!

ドリームフライヤーは画期的な発明です。こうして私は、「カメリア・ファルコ生誕100周年記念展」の展示のとおり、イマジネーションの強大なチカラを思い知らされたのでした。

ディズニーのアートへのリスペクトは、ディズニーシーの他の場所でも見られます。人魚姫の物語、リトル・マーメイドの関連エリアには、とある名画がひっそりと展示されています。その謎に迫ります!

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