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子連れ美術館のハードルは高い…
わたしは子供を持ってからというもの、美術館から足が遠のいてしまっていました。特に子供が幼い頃は子育てが大変だったということもありますが、何より美術館という場所が子連れにとってとても敷居が高い場所だったからなんですよね。
美術館では静粛が求められます。大人どうしで作品を鑑賞して、ちょっと感想を小声で言い合うだけでもスタッフの方に注意されることがあります。そんなところへ子連れで行ったらどうなるか。子供は得てしてコントロールできないものです。別に美術館に限らず電車の中などでもそうですが、「じっとさせろ」「静かにさせろ」「泣きやませろ」という有言無言のプレッシャーを受けることが多々あり、周囲の期待に応えようと親はあの手この手で子供の行動をコントロールしようと手を尽くしますが、どこかで限界がきます。美術館のような静謐な場所では、子供の声(小声でもよく通る)、泣き声などもってのほか。そういうわけでわたし自身も美術館へ行くことはしばらく諦めてしまっていたのです。そんなとき、ココなら子連れでも白い目で見られず、大人も十分に楽しめるかも!と思ったのが箱根にある彫刻の森美術館でした。
彫刻の森美術館のキッズフレンドリーなポイント5つ
一度子供が1歳の時に彫刻の森美術館を訪問し、とても良かったので子供が小学生になった今でも何度か再訪していますが、とにかく子連れでも申し訳なさを感じることなく行けて、大人も楽しめる要素が満載なのです。
①作品の多くは屋外展示。公園感覚で気軽に行ける美術館
彫刻の森美術館は、屋内での展示もありますが、ほとんどの展示が屋外です。屋外であれば、子供の声が反響することもなく、さほど耳障りになることがありません。そして敷地が広大なので、子供が泣いていてもあまり目立たずに済みます。子供が作品に触ったり、柵で囲まれた芝生へ立ち入らないように注意する必要はありますが、それでもふつうの美術館と比べたら圧倒的にハードルが低いです。子供と一緒に散策路を歩きながら、気楽にアートを見られます。
②鯉のエサやり体験も可能!子供向け作品が満載。
子供向けの野外展示をいくつか備えており、キッズフレンドリーな姿勢を打ち出しています。
- ネットの森
小学生以下限定で遊べるこちらの作品。カラフルなネットが絡まり垂れ下がっており、よじ登って遊べます。コロナ対策のため、利用前にはまず手を消毒。そして靴を脱いでから遊びます。0~2歳児くらいの子が遊ぶには危ないので、幼稚園~小学生向けですね。結構高いところまで登れるので、小学生でもかなり楽しく遊べていました。ネットの上で走り回り、鬼ごっこをしている子もいましたね。保護者はネットに登ることはできないのですが、そばで見守ったり、手を貸したりするのはOKです。
こちらは施設の名前として「ネットの森」と呼ばれていますが、作品名は「おくりもの:未知のポケット2」といい、堀内紀子さんの作品です。複雑に編み込まれたこのネット、すべて手編みで作られているのだそうです。糸の長さの総延長は、なんと104803.65mにものぼるのだとか。子供がここで遊ぶのを見守りつつ、大人はこの作品が作られるまでの途方もない時間や労力に思いを馳せながら、造形の美しさを鑑賞するのもいいですね。大人が何人かいて手分けできるなら、ひとりがここで子供を見ていて、他の大人はちょっと外に展示されている彫刻を見にいく…という楽しみ方もできます。子供を遊ばせつつ、大人は一流のアートの世界に浸れる…子連れにとっては理想的な場所です。
- 吊り橋、池に浮かぶ彫刻と鯉のエサやり体験
吊り橋があり、鯉のエサやり体験ができる美術館なんてなかなかないのではないでしょうか。森の中へ進む階段を下っていくと、本格的な吊り橋があります。子供は大喜び。渡る時に結構揺れるので、ドキドキです。
吊り橋を渡りきったところで、さらに森の奥へ降りる階段を下ると、鯉のエサの自動販売機が…。
100円硬貨を入れると、カプセルに入った鯉のエサが出てきます。そばにある池には色鮮やかな錦鯉が。エサをあげると寄ってきます。子供は大喜び。
こちらの池に浮かぶ彫刻作品は、ハンガリーのアーティスト、マルタ・パン作「浮かぶ彫刻 3」(1969年)です。小さな方の彫刻は、風や水の流れでゆったりと水の上を動きます。子供が鯉にエサをやっている間、泳ぐ鯉が作った水流や森を吹き抜ける風で彫刻が動く様子を眺めてぼーっとするのもいいです。池の周囲が豊かな緑で囲まれているので、彫刻の赤がくっきりと映えて本当に美しい。子供を遊ばせつつ、森林浴とアート鑑賞ができるなんて…なんて贅沢。
※この吊り橋~池のエリアは階段などがあるためベビーカーで行くことができません。注意しましょう。また、このエリアに行くとかなりの高低差を上り下りすることになるので結構疲れます。吊り橋と池へ行くのであれば、休憩時間を十分にとれるよう余裕を持ったスケジューリングをお勧めします。詳しくはこちら↓
- しゃぼん玉のお城
しゃぼん玉がいくつもつながったようなジャングルジムで遊べます。利用は小学生まで。
※現在、新型コロナウイルスの影響により、利用中止となっています。
③館内プログラムも充実!
子供向けの館内プログラムも充実しています。(公式サイト:https://www.hakone-oam.or.jp/about/?id=865804)
例えばシールラリー。わたしが訪問した際には、敷地内に隠されているシールを探し、すべて集めると記念品がもらえるイベントをやっていました。これなら子供も飽きずに長い時間楽しめそう。
また、「リアル影探し」というものも。彫刻作品の影の形から、敷地内の作品を探すというもの。これも子供(小学生)の食いつきがよく、楽しくアートに親しむことができました。
④ベビーカーOK、屋内・屋外の飲食スペースも完備
彫刻の森美術館の屋外展示場はなだらかな坂道の続く散策路になっており、ほとんど段差がなく、大部分をベビーカーで回ることができます。これは子連れにうれしいポイント。子供が遊び疲れて寝てしまっても、ベビーカーに乗せて散策できるので助かります。(※本来ならばベビーカーの貸し出しがありますが、現在は新型コロナウイルスの影響で中止されています)
また、散策路の途中に飲食可能なスペースが設けられています。これなら「ちょっとおやつを食べさせたい」「離乳食を食べさせたい」という場合でも大丈夫。屋内の飲食可能なスペースは、ミュージアムカフェの2階にある「丸太広場 キトキ」です。近くには足湯もあり、絶好の休憩スペースになっています。
屋外の飲食可能な場所は、公式サイトの案内図(https://www.hakone-oam.or.jp/about/?id=8)に載っています。散策の途中でも、水分補給をしたり、おやつを食べながらひと休みできるのはありがたい。子連れでもストレスフリーに楽しめる美術館です。
⑤大人も我慢しなくていい!超一流の現代アートがてんこ盛り
子供が生まれてからというもの、子供向けの施設ばかりに行っていて…たまには大人だって楽しみたい!と思っている親御さんも多いのではないでしょうか。彫刻の森美術館は子供向け作品のほか、大人も楽しめる現代アート作品がたくさん。例えば屋外展示で見られるヘンリー・ムーアの彫刻の数々。
ヘンリー・ムーアは抽象的な彫刻作品で知られますが、彼自身自分の作品が彫刻の森美術館で展示されている環境に大変満足していたそうです。「彫刻は野外の芸術である」と発言し、自然や生活の一部として自身の作品を捉えて欲しいと望んだ彼の意向を叶えた形で、季節とともに美しく移ろう箱根の自然の中で作品を鑑賞できる…ここではとても豊かな体験ができるんです。
ピカソ館にはピカソのオリジナル作品が300点超所蔵され、いつでもまとまったピカソコレクションを鑑賞することができます。大人が交代で子供の面倒をみつつ、ゆったり美術鑑賞をすれば、日常を忘れてリフレッシュできること間違いなし。
子連れに理想的な彫刻の森美術館
こうしてまとめてみると、子連れの来館客をここまで徹底的におもてなししてくれる美術館ってなかなかないな~と感動してしまいました。最近はわざわざ子供向け鑑賞日を設けてくれる美術館もあったりして、キッズフレンドリーなところも増えていますが、それでも子連れにとっては美術館はまだまだ敷居が高い場所。気軽に子供たちをアートに触れさせてくれる彫刻の森美術館、本当におすすめです。
所在地:〒250-0493 神奈川県足柄下郡箱根町ニノ平1121
公式サイト:https://www.hakone-oam.or.jp
広大な彫刻の森美術館。ぐるっと見て回るのにどのくらいかかるか、急いでいる時はどういう順路で回ればいいか。…などなど、回り方の解説はこちら↓
ピカソ館の珠玉のコレクション。見ておかないと損ですよ。
彫刻の森美術館では源泉掛け流しの温泉足湯が楽しめます。贅沢。
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