音声ガイドアプリ・「聴く美術」が超快適!ロンドン・ナショナル・ギャラリー展で感動。

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以前からわたしは美術館や博物館の音声ガイドに不満を持っていました。展示品の鑑賞や理解を助けてくれるという点で、音声での説明自体は重宝していたのですが、問題はその提供方法でした。会場で音声レコーダーをレンタルして使うわけですが、これがわたしにとっては、下記の点でとてもストレスでした。

  1. 重い
  2. コードが絡まる
  3. イヤホン・ヘッドホンの形状が合わない
  4. 音質が悪い
  5. 使いにくい割に情報量が少ない

まずは使い勝手の問題です。首からかけるタイプが多いのですが、正直言って音声を再生するだけの機械なのに、無駄に重いです。肩が凝ってしまいます。そして有線で接続されたイヤホンを装着するわけですが、コードが絡まってイヤホンが耳から落ちてしまうことがよくあります。また、イヤホンやヘッドホンの形状が自分の耳の大きさ、頭の形に合っていないので、うまくフィットせず使い勝手がよくありません。そして機械側の問題だと思いますが、音質もイマイチ…。音声を再生するだけなら、スマホアプリ&自前の無線イヤホンで快適に聴けるはずなのに、なぜ未だにこんなにアナログなのでしょうか。スマホアプリで音声ガイドは提供されれば、音声以外の情報(たとえば文字・動画での解説)だって搭載できるはず。音声ガイドも時代に合わせて変わっていけないのでしょうか。

…と不満たらたらだったのですが、昨年あたりからスマホ型音声ガイドを提供する美術館が増えてきました。これは音声ガイドに画期的な変化が訪れる前兆かも?!と思って記事にまとめていました↓。

美術館の音声ガイドはこう変わる!スマホが音声ガイドになる未来。

そんな中での新型コロナウイルスの発生。美術館は軒並み長期休館を余儀なくされ、開館後も感染拡大防止策が求められています。音声ガイドをはじめとした貸し出し物品での感染リスクを低減するため、個人のスマホを音声ガイドとして使う必要性が高まりました。こうして確実に新型コロナが背中を押す形で、ついに大型美術展にスマホアプリ版音声ガイドが導入されました。国立西洋美術館で開催のロンドン・ナショナル・ギャラリー展です。先日使ってみたので、レビューしてみたいと思います。

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展のスマホ版音声ガイド・使用方法は?

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展の音声ガイドでは、従来型の会場貸し出し型の他、個人のスマホ(iPhone、アンドロイド)をに音声ガイドアプリをダウンロードして使用することもできます。スマホアプリ版の使用方法は公式サイト(https://artexhibition.jp/london2020/sales/)にまとまっていますが、使用にあたってはアコースティガイド公式アプリ&音声データのダウンロードが必要になるので、会場へ行く前にダウンロードを済ませておくことをお勧めします。

①アコースティガイド社の公式アプリ・「聴く美術」をスマホにダウンロード(無料)

美術館や博物館の音声ガイドを取り扱っているアコースティガイド社が、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの音声ガイドを聴けるスマホアプリ「聴く美術」を提供しています。詳細は下記のリンクから↓

https://www.acoustiguide.co.jp/kiku-art/

iPhoneの場合、App Storeで「聴く美術」と入力するとトップに出てきます

iPhoneの場合、App Storeで「聴く美術」と入力するとトップに出てきます

アプリのダウンロード自体は無料です。音声ガイドの利用にあたっては、それぞれ数百円程度の課金が必要になります(後述)。

②聞きたい音声ガイドを購入(有料)

展示会場で音声ガイドをレンタルするのと同様に、アプリで音声ガイドを聴くのは有料になります。

たとえば、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展の音声ガイドは610円でダウンロードできます。

アコースティガイド社「聴く美術」アプリより引用

アコースティガイド社「聴く美術」アプリより引用

現在実施中の他の展覧会の音声ガイドや、オリジナルコンテンツも含まれていますね。(たとえば、奈良国立博物館で開催中の正倉院展など)

ダウンロードが終了すると、コンテンツが視聴できるようになります。

③イヤホン持参で、会場へGO!

会場へ行くにあたって、音声ガイドをダウンロードしたスマホで使えるイヤホンを忘れずに持参しましょう。静かな展示会場の中で、音声をそのまま流すわけにはいきませんから…。

音声ガイドアプリを使ってみた感想

さて、実際に美術館へいったら、「聴く美術」アプリを起動し、音声ガイド説明のある作品を見ながら再生ボタンを押し、持参したイヤホンで説明を聴くだけ。音声ガイド貸し出しの列に並ぶ必要がなく、とてもスマートで快適。

コロナ禍のこのご時世、共有の貸し出し物品を借りるのはとても気を遣います。その点、自前のスマホ&イヤホンを使うので感染リスクを気にしなくて良いのは助かります。そして使用感も上々。自分のスマホを使うだけなので追加で荷物が増えることなく、軽く、ワイヤレスイヤホンを使えばコードの絡まりもなくストレスフリー。イヤホンはApple AirPods Pro一択ですね。ノイズキャンセリング機能がついているので周囲の音が気になることなく、作品鑑賞に没入できます。音質も良いので、ナレーションやBGMが綺麗に聞こえて最高です!コンパクトなので、持ち運びも苦になりません。

音声ガイドアプリとApple AirPods Pro。 快適な美術鑑賞の必携アイテム。

音声ガイドアプリとApple AirPods。 快適な美術鑑賞の必携アイテム。

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展のエンディングはイギリス屈指の美術コレクションの来日にふさわしく、エルガー作曲のイギリスの第二国歌「威風堂々」でした。良好な音質で展覧会の余韻に浸りつつ、会場を後にすることができました。

惜しいな~と思ったのは、既存の音声ガイド以外のコンテンツがなかったこと。せめて展示作品の脇にあるキャプションがスマホで表示できたら、わざわざキャプションに近づく必要もなかったのですが…。キャプションの周りは結構人だかりができてしまっていたので、密を避けるためにもスマホで文字説明が見れたらさらによかったなぁと思いました。

とはいえ従来型の音声ガイドに比べて格段に使用感が良かったので、今後はスマホ音声ガイドをガンガン利用していきます。コロナの感染対策にもなるので、より多くの展覧会で導入して欲しいなぁと思っています。

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展のレビューはこちら↓

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展:巨匠の名作揃い踏み!コロナの憂鬱を吹き飛ばす大型美術展。

【ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 開催概要】
[東京展]

会期:2020年3月3日~2020年6月14日
※新型コロナウイルス肺炎により、下記のとおり会期変更:
2020年6月18日~2020年10月18日
会場:国立西洋美術館
特設サイト:https://artexhibition.jp/london2020/

[大阪展]

会期:2020年11月3日(火)~2021年1月31日(日)
会場:国立国際美術館(大阪・中之島)
特設サイト:https://artexhibition.jp/london2020/
※入館にあたっては、日時指定予約券の購入が必須です。