東京緊急事態宣言日記7:手ぬぐいで本格派プリーツ布マスクを作る方法

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今月初め、政府が各世帯に2枚ずつ布マスクを配布するという方針を発表した。直後から賛否両論が巻き起こり、「そもそも布マスクに感染防止効果はあるのか」、「税金の無駄遣いだ、その費用を他のコロナ対策に充てるべき」という強烈な批判から、「布マスクは助かる。でも大家族なので2枚じゃ足りない」という意見まで様々な意見が飛び交い、「アベノマスク」という言葉まで生まれた。これ、今年の流行語大賞にノミネートされるんじゃないかと思うほどメディアやSNSを賑わせているパワーワードである。誰が考えたんだろう。天才?

あまりにも問い合わせが多いのか、厚労省には「布マスクの全戸配布に関するQ&A」というページまで作られている。最大の論点である「布マスクに効果はあるのか?」という疑問に対して、咳やくしゃみなどの飛散を防ぎ、手指が顔に触れるのを防ぐことから感染拡大を防止する効果があること、呼吸器の湿度を高く保ち風邪をひきにくくなることなどか書かれている。布製マスクではウイルスの粒子をシャットアウトすることはできないので完全な感染予防はできないが、マスクをしていることで顔を触りにくくなるのは結構効果的ではないかと思う。新型コロナウイルスの感染経路は飛沫感染だけでなく接触感染も重要なようだし、外出先でウイルスに汚染された可能性のある手で顔を触るのは避けなければいけない。

ここ1ヶ月ほどは、街中でマスクをしていない人の方が珍しくなった。マスクなしで歩くと肩身が狭い。そういうわけで使い捨てマスクをつけていたら、みるみるうちに我が家の在庫が減ってきた。今週からアベノマスクが順次発送されると報道されているものの、我が家の使い捨て不織布マスクの在庫はすでに少なく、かといって生活必需品の買い物で外出しなければならないので困ってしまった。そこで一念発起して布マスクを作ることにし、Youtubeで作り方を探していると手ぬぐいで本格的なプリーツマスクを作る方法を紹介している動画を見つけた。

手ぬぐい1枚から、市販されているプリーツマスクのような形のマスクが作れるというもの。材料の手ぬぐい自体は生地が薄いが、2枚重ねにしているので丈夫でふにゃふにゃしにくくなっている。鼻に当たる部分には針金が入っていて市販品のようなノーズフィットになっており、鼻の形に合わせて曲げられて隙間なくフィットさせられるようになっていて芸が細かい。なんという創意工夫。考案者の「ズボラママのハンドメイド」チャンネルさんに大感謝。ミシンもあるし、動画をひととおり見てみて作れそうだと思ったのでチャレンジしてみることにした。

ムンク展で購入した、「ムンク の叫び」手ぬぐい

ムンク展で購入した、「ムンク の叫び」手ぬぐい

材料にはアート手ぬぐいを使ってみた。去年東京都美術館で行われた美術展「ムンク展」のミュージアムショップで購入した、「ムンクの叫び」デザインの手ぬぐい。白地にムンクの「叫び」に登場する耳をふさぐ人物、ムンク自身の肖像画、出身国ノルウェーの国旗がデザインされている。確かBEAMSコラボのデザインだったと思う。使わずに大事にとっておいたものだけれど、手ぬぐいの買い置きがこれしかなく、非常時なので仕方ないと使うことにした。他の材料・道具はノーズフィットに入れる針金と、針と糸(あればミシンがベスト)、ゴム紐2本、アイロン。道具以外はいずれも100均で揃う材料だ。

詳しい作り方は前述の動画を参照していただきたい。基本的には動画の作り方をそのままやってみたが、ノーズフィット部分に入れる針金として園芸用のビニールタイを使ってみた。植物のツルを束ねる用途で使うもので、細い針金がプラスチックでコーティングされているものである。試しに使ってみたら1本ではふにゃふにゃして強度が足りなかったので、10cmほどの長さに切ったビニールタイを2本用意してねじってからノーズフィットの部分に入れてみた。これで機能的には十分。

上部のポケット部分に、ねじったビニールタイを入れてノーズフィットにする。

上部のポケット部分に、ねじったビニールタイを入れてノーズフィットにする。

ミシンとアイロンを使って1時間ほどで完成。でき上がりはこんな感じ。動画の作り方で、成人男性が使えるサイズが1枚作れる。

手ぬぐい生地で作った、ノーズフィットつきプリーツ布マスク。

手ぬぐい生地で作った、ノーズフィットつきプリーツ布マスク。

市販のプリーツマスクの形がよく再現されていて、遠目にみたら布マスクとわからないんじゃないかと思う。つけてみるとノーズフィットがしっかりしていて隙間ができにくく、不織布に比べて綿素材のマスクは肌触りがいいので意外と快適。布マスク侮れないな…。

こうして「ムンクの叫び」柄の布マスクができたところで思い出したのが、ムンクが生きた時代にはスペイン風邪が流行っていたということ。スペイン風邪は今で言うところの新型インフルエンザで、世界中に広がり、多くの犠牲者を出した。ムンクも罹患したが回復し、「スペイン風邪の後の自画像」を描いた、と去年のムンク展で知ったことを思い出した。アートと感染症の歴史は切っても切れないのだなあと思った。

残った手ぬぐいの生地でもう1枚作れそうだったので、やってみると小さめサイズの布マスクができた。ちょうど女性用・子供用として市販されているサイズにあたる。

右:動画の作り方の通りに作った布マスク 左:余り布で作った布マスク

右:動画の作り方の通りに作った布マスク
左:余り布で作った布マスク

手ぬぐいを活用したマスクについてはSNSでいろいろなアイデアがシェアされていて、縫わずにすむものもあるようだ。Twitterで「手ぬぐいは神布」というつぶやきを見かけ、ほんとうにその通りだと思った。手ぬぐいはタオルのような使い方だけでなく、頭に巻けばバンダナになり、首に巻けばストール、裂けば包帯代わり、風呂敷のように包むこともできてオールマイティに活躍する。ただ口のまわりに巻くだけでも簡易的なマスクになる。こういう非常事態のために手ぬぐいを何枚か買い置きしておくと良いかもしれないなあと思った。