彫刻の森美術館の所要時間はどのくらい?おすすめ散策プランと楽しみ方を徹底解説。

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GoToトラベルに乗っかる形で、久しぶりに箱根へ行ってきました。ミュージアム好きとしては絶対外せないのが、箱根の豊かな自然の中にアート作品を野外展示している彫刻の森美術館です。国内初の野外美術館として有名ですが、2019年に開館40周年を迎えてもなお不動の人気を保ち、週末はチケット売場に長蛇の列ができるほどです。美しい庭園がどこまでも続く広大な敷地の中、アート作品の中を散策すると、日常の喧騒から離れて本当にリフレッシュできます。温泉にゆったり浸かるのもいいですが、アート鑑賞で心に栄養を補給するのも大事なひとときですよね。

とはいえ箱根には魅力あるスポットがたくさん。ロープウェーに乗って大涌谷で黒卵を食べたい、芦ノ湖で海賊船に乗りたい、温泉でゆっくりしたい、ショッピングも外せない…と、せっかく行くからにはあれこれ予定を詰め込みたくなってしまうのが人情です。彫刻の森美術館の敷地はとても広く、ポイントを押さえて散策しないと見て回るのにかなり時間を使ってしまいます。そこで、彫刻の森美術館のおすすめ散策プランを紹介しつつ、時間がない時でも効率よく歩ける回り方も紹介したいと思います。

1. 公式サイトのおすすめ散策プラン3つ

彫刻の森美術館 案内図

彫刻の森美術館 案内図

ちょっと探しづらいのですが、公式サイトでおすすめの散策プランが3つ提示されています。「子供づれコース」、「雨の日コース」、「お急ぎコース」です。それぞれの内容と公式サイトへのリンクは下記のとおりです。

①子供づれコース(所要時間およそ90分~120分)

公式サイト:https://www.hakone-oam.or.jp/about/?id=8

しゃぼん玉のお城、ネットの森、吊り橋、池に浮かぶ彫刻(鯉のエサやり体験可)、幸せをよぶシンフォニー彫刻など、子供たちが触ったり、作品の中に入って遊べる体験型の作品を中心にしたコース。足湯やカフェでの休憩時間も含まれています。

②雨の日コース(所要時間およそ60分~90分)

公式サイト:https://www.hakone-oam.or.jp/about/?id=10

本館ギャラリー、アートホール、ピカソ館など屋内施設を中心とした散策プランです。残念ながら天候に恵まれなかったとしても、屋内施設だけでも結構見どころがあるので楽しめます。

③お急ぎコース(所要時間およそ40分~60分)

公式サイト:https://www.hakone-oam.or.jp/about/?id=11

とにかく足早に敷地内ををぐるっと一周して戻ってくるコースです。展示エリアを一周するだけで60~90分かかると公式サイトに記載があるので、40~60分で回るとなるとかなり急ぐことになります。

わたしは今回、小学生の子供を連れて行ったこともあり、①子供づれコースで回ってみましたが、かなり急いで回ったつもりなのに休憩を入れて2時間半かかったうえに、想定外に疲れがどっと来ました。まぁ日頃の引きこもりデスクワーク生活で運動不足がたたったせいでもありますし、その疲れは箱根の温泉でしっかり取れたので良かったのですが。それにしてもなんでこんなに疲れたんだろう?と思い調べてみると、彫刻の森美術館の特徴が浮き彫りになってきたのです。

2. 彫刻の森美術館の広さと散策ルートの総距離はどのくらい?

彫刻の森美術館公式サイトによると、庭園の敷地面積は7万平方メートルとのこと。この数字を見てもピンと来ませんが、実際に国土地理院の地図上で計測してみると320m×220mの正方形程度の大きさになります。こうしてみると「あれ?そんなに広くないからすぐに一周回れてしまうのでは?」と思うかもしれませんが、話はそう簡単ではありません。というのも、下図のように散策路が複雑に入り組んでいるので、鑑賞ルートの総距離がとても長くなっているからです。

彫刻の森美術館 散策ルートマップ

彫刻の森美術館 散策ルートマップ

これはわたしが国土地理院地形図とGoogle Mapを元に、できるだけ正確な縮尺で彫刻の森美術館の散策路や施設の配置を再現した地図です。蛇行した散策ルートが組まれているため、敷地面積に対して散策路の長さがかなり長くなっています。芝生(緑色の部分)には作品が展示されているので、横切って移動することはできません。散策ルートの総距離を地図上で計測してみると、約1.7kmありました。そのくらいなら1時間くらいで全部回れるのでは?と思ってしまいますが、彫刻の森美術館を快適に散策するうえでもうひとつ重要な要素があります。それは標高差です。

3. 館内の標高差は30~40m!実は10階建てビルがすっぽり入る高低差。

箱根という立地の特性上、彫刻の森美術館は標高差のある斜面に建てられています。各施設の配置図に、国土地理院地形図の等高線を重ね合わせてみると下図のようになります。

彫刻の森美術館敷地内の標高差マップ(国土地理院地形図、Google Mapより筆者作成)

彫刻の森美術館敷地内の標高差マップ(国土地理院地形図、Google Mapより筆者作成)

彫刻の森美術館の敷地は箱根登山鉄道を挟んだ両側にあり、駐車場やチケット売場は標高550mの場所にあります。展示エリアへ進むとき、箱根登山鉄道の下をトンネルをくぐると、最初に見えてくる円形広場は標高530m~540mの間にあります。その後も散策路を進むにつれてどんどん標高が下がっていき、一番奥のピカソ館は標高510mの場所にあります。入口からピカソ館までの高低差は40m。10階建てビルが高さ約30mなので、展示エリア内には相当な高低差があるのです。高低差をうまく利用して、変化に富んだ展示を演出しているんですね。

楽しく散策しているとあまり気づかないのですが、知らず知らずのうちに10階建てビルを上り下りするくらいの負担が体にかかっており、ひととおり見て回ると想像以上に疲れがきます。前述のとおり散策ルートの総距離は1.7kmなのですが、ずっと傾斜地を歩くとなると平地とは全く勝手が違います。歩きやすい靴で行きましょう。実際、ピカソ館へ着く頃にはかなり脚が疲れているので、どこかで休憩を入れないと一周するのはなかなか厳しいです。折り返し地点のピカソ館の近くにカフェや温泉足湯が作られているのも納得です。
(足湯やカフェのレポートはこちらの記事にまとめています↓)

ミュージアムカフェからの眺め。屋外の作品は「うつろひ」(宮脇愛子作、1981年)

彫刻の森美術館の足湯&カフェが、おもてなし精神全力投球で尊い。

このように、散策ルートの距離に加えて、標高差による疲れが所要時間に効いてくるので、そのあたりを踏まえて散策プランを考える必要があるのです。

4. 3つの散策プランの距離と高低差は?

公式サイトでおすすめされている散策プランのとおりに回ると、どの程度の距離・高低差の移動になるか地図上で計測してみました。

①子供づれコース

  • 距離:約1.2km
  • 高低差:下り40m、上り40m

(「幸せのシンフォニー彫刻」頂上まで登る場合は上り・下り各18mを追加)

②雨の日コース

  • 距離:約983m
  • 高低差:下り25m、上り25m

③お急ぎコース

  • 距離:約1.05km
  • 高低差:下り25m、上り25m

圧倒的に子供づれコースの距離・高低差が大きいことが分かりますね。道理で疲れたわけだ…。距離が長くなるのは立ち寄る作品数が多いからです。高低差が大きくなる理由は、子供向け彫刻作品の位置です。しゃぼん玉のお城→吊り橋と池(標高510m)へ向かって急激に斜面を下りますが、次へ移動する際には来た道を戻り、いったん10m上にある散策路へ戻らなければなりません。そこで上り下り各10mが追加されます。また、散策路からネットの森へ行くには5mほど斜面を下りなければならないので、さらに上り下り各5mが追加。また、タワー型彫刻である「幸せをよぶシンフォニー彫刻」の頂上まで登るとすれば、タワーの高さ分上がって下りるかたちになるので、上り下り18mがさらに追加されるわけです。
ちなみに、「幸せをよぶシンフォニー彫刻」の内部はどうなっているか、てっぺんまで上るとどんな景色が見られるかはこちらの記事にまとめています↓

ガブリエル・ロワール「幸せをよぶシンフォニー彫刻」

幸せをよぶシンフォニー彫刻(彫刻の森美術館)で、光の巨匠のステンドグラスをカメラに収めよう

したがって、特に子供向け作品(しゃぼん玉のお城、ネットの森、池に浮かぶ彫刻&吊り橋)へ行く場合は高低差が大きくなり疲れるので、休憩を考えて所要時間を多めにとった方が良いということになります。せっかくなので、カフェや温泉足湯でゆったりとひと休みしましょう。特に、足湯は本当に疲れがとれるのでマストです。もちろん、子供を遊ばせるなら遊ぶ時間の確保も必要ですね。

5. 一番ラクに「幸せをよぶシンフォニー彫刻」へ行く方法はコレ!

ガブリエル・ロワール「幸せをよぶシンフォニー彫刻」

ガブリエル・ロワール「幸せをよぶシンフォニー彫刻」

できればくまなく館内を見て回りたいけれども、時間にも体力にも限界があるので、できるだけ短時間で回りたい…。でも、SNS映えで人気のステンドグラス彫刻「幸せをよぶシンフォニー彫刻」にはぜひ行きたい!そんな方も多いのではないでしょうか。「幸せをよぶシンフォニー彫刻」は展示エリアの端にあり入口から遠くはなりますが、できるだけ高低差を避けてラクに行く方法があります。それは、入口入ってすぐの円形広場から分かれるふたつの散策路のうち、向かって右側(登山鉄道の線路に近い側)の道を進むことです。

↑この標高図を見ると、散策路A(青色、左側)は標高530m→510mにどんどん下っていくルートなのに対し、散策路B(赤色、右側)は登山鉄道に沿った形で530mの等高線上を進む道となっています。散策路AとBの高低差はこんなにあるんです。

散策路AからBを見上げて撮影。散策路A(手前)と散策路B(奥)の高低差はかなりあります。

散策路AからBを見上げて撮影。散策路A(手前)と散策路B(奥)の高低差はかなりあります。

散策路Aから見えると、Bを歩く人がはるか上を歩いているのがよくわかります。等高線に沿って行くルートなので、散策路Bは高低差がなく圧倒的に疲れにくいのです。ほぼ平坦な道のりで、「幸せをよぶシンフォニー彫刻」やカフェ・足湯のある場所までラクに行くことができ、帰りも来た道を戻れば、ラクに行って帰って来れます。散策路A沿いの彫刻を見ることができないのがちょっと残念ですが、本当にお急ぎの場合はおすすめです。

また、週末はチケット売り場に長蛇の列ができることがあるので、時間がない場合はオンラインチケットを事前に買っておき、到着してすぐに入館できるようにしておきましょう。

6. まとめ

彫刻の森美術館を箱根の観光プランに組み込む時は、以下の点を考えておくと失敗が少ないです。

  • 最低でも1時間、全体を見て回るなら1時間半~2時間の滞在時間を確保
  • 一周する予定なら、カフェや温泉足湯での休憩時間を確保
  • 子供向け作品(吊り橋、池に浮かぶ彫刻、しゃぼん玉のお城、ネットの森)へ行く場合は、散策路の高低差が大きくなり結構疲れるので、遊ぶ時間と休憩時間を考慮して滞在時間を多めにとる
  • 30~40mの高低差がある敷地内を散策するので、歩きやすい靴が必須
  • 事前にオンラインチケットを買っておくと、割引でお得なうえに行列に並ばずに済むので時短
公式サイトのおすすめ散策プランの所要時間を参考にしつつ、展示エリアに大きな高低差があることに注意して、余裕を持ったプランニングを立てることをおすすめします。

彫刻の森美術館

所在地:〒250-0493 神奈川県足柄下郡箱根町ニノ平1121
公式サイト:https://www.hakone-oam.or.jp
      

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