ムンク展・都響コラボ演奏会が無料なのにコスパ最強だった話

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現在東京・上野の東京都美術館でムンク展(https://munch2018.jp)が開催されており、有名な「叫び」も来日中です。関連イベントとして、ムンク展のチケット(半券も可)で本日開催の東京都交響楽団(都響)の特別演奏会”ART meets MUSIC”が無料で聴けるということだったので、昨日上野駅前の東京文化会館へ行ってきました。まあ、無料の演奏会だし…とあまり期待せずに行ったのですが、結論から言うと無料なのにこの内容?!と思うくらいお得な内容でした。

ART meets MUSIC弦楽アンサンブルの編成と曲目

東京文化会館ART meets MUSIC(小ホール)の会場

東京文化会館ART meets MUSIC(小ホール)の会場

会場の雰囲気はこんな感じ↑。ちなみに演奏が始まる頃には、会場はほぼ満席になっていました。(ホール内が撮影禁止のため、ホール外のモニターに映るステージを撮影)無料の演奏会なので、弦楽四重奏(バイオリン2本、ビオラ1本、チェロ1本)くらいかなあと思ったら、結構しっかりした弦楽アンサンブルの編成でした。第一バイオリン3本、第二バイオリン4本、チェロ2本、ビオラ3本、コントラバス1本。これだけの編成だと、かなりの迫力があって聞きごたえがありました。都響の首席奏者(=各楽器パートのリーダー)が出演されていたので、入場料を取らない演奏会にも関わらず豪華です。

そもそも美術館でムンク展を鑑賞した人をご招待するということで、必ずしもクラシックに詳しい人が聴衆ではないということを踏まえ、知名度の高い曲が入っていて誰もが楽しめる内容で良かったです。

曲目と感想

①エルガー:愛の挨拶

エルガーが妻のために作った甘い曲ですね。ピアノの独奏バージョンしか聞いたことがなく、弦楽アンサンブルを聞いたのは今回が初めてでした。ピアノよりも、より流れるような旋律の波が押し寄せるような印象で鳥肌が立ちました。

②モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク

誰もが一度は聞いたことのある名曲ですね。映画「アマデウス」でもおなじみ。今回は第1楽章と第4楽章のみの演奏でしたが、十分モーツァルトの魅力に浸れました。

③グリーグ:2つの悲しき旋律 op.34-1より第1曲「胸のいたで」

ここから先が今回のムンク展コラボ企画の真骨頂。ムンクの出身地であるノルウェーで、ムンクと同時代に活躍した作曲家、グリーグが作曲した楽曲です。MCの方によると、ムンクの「叫び」の雰囲気を感じられる暗い曲を選曲したとのこと。この「胸のいたで」という曲、見事に暗くて陰鬱。不協和音とお腹に響く重低音。ムンクの「叫び」は自然から発せられた叫びに耳を塞いでいる絵画ですが、確かにこの曲、体の芯まで震える陰気さは耳を塞ぎたくなるかも…。心を揺さぶられる選曲と演奏でした。

④グリーグ:組曲「ホルベアの時代」op.40 ホルベルク組曲

暗い曲だけでなく明るい曲も、ということでグリーグがノルウェーを代表する作家・ホルベルクのために作曲したもの。MCの方の曲紹介では第5曲のバイオリンとビオラのソロパートの超絶技巧が聞きどころとのこと。第1曲から第5曲までフルで演奏されており、確かにバイオリン、ビオラソロパートが高速で掛け合いを行う最終部分は緊迫感感があって引き込まれます。チェロのソロパートも重厚感があって良かったです。

⑤アンコール:グリーグ:2つの悲しき旋律 op.34-2より第2曲「過ぎにし春」

無料演奏会なので、アンコールはないと思っていのですが、しっかり1曲アンコールに応えてくれました。通常アンコール曲の曲名は演奏前には明かされず、終演後にロビーの掲示を見て曲名を知ることになります。知らない曲だったので、曲名が分からず聴いていると…3曲目のグリーグ作「胸のいたで」ほどではないものの、独特の暗~い雰囲気。終演後のロビーの掲示でアンコール曲を知り、なるほどと納得。↓

東京都美術館・都響コラボ演奏会のアンコール掲示。

東京都美術館・都響コラボ演奏会のアンコール掲示。

やはりグリーグの「悲しき旋律」でしたか…。ムンク展コラボという雰囲気が出ていましたね。

カジュアルでアットホームな雰囲気、クラシック初心者でも全然OK

このART meets MUSIC特別演奏会の魅力はクラシック音楽に対する敷居の低さだと思います。ものすごく手作り感のある、アットホームな雰囲気なんです。

演奏者がMCを担当する手作り感

私は学生時代に、学生オーケストラの指揮者をやっていました。演奏会を行う際には、当然MCから細かな準備に至るまで自分たちでやるので、全て手作りの演奏会になります。一方、プロの演奏会では通常プロのMCがつくので、演奏者が話すことはあまりありません。この特別演奏会では、第二バイオリンの演奏者の方が立ち上がって普通にマイクを取り、MCをされていたので、(プロに対して失礼かもしれませんが)学生時代のような手作り感に驚き、ちょっと懐かしくなるとともに、リラックスして気楽に聴ける演奏会でいいなあと思いました。それにMCの方が上手なんです。適度に会場を笑わせつつ曲紹介をしながら、都響の宣伝もしっかりされていました。MCの方、専門の訓練を受けているのかな?と思うくらい話がうまかったです。(もちろん演奏も。)

演奏者との距離が近く、臨場感あり

小ホールなので会場と演奏者の距離が近く、演奏者の息遣いまで聞こえます。弦楽アンサンブルの場合、指揮者がいないので演奏者同士が工夫して音の出だしやリズム、テンポを揃える必要があります。この時、演奏者同士でアイコンタクトしたり、一緒に息を吸って音の出だしを合わせたり、楽器を同じように動かして拍子を取ったりして指揮者なしでもアンサンブルを成立させます。私は会場の真ん中あたりで聴いていましたが、それでも演奏者が皆で息を吸って合わせている様子や、アイコンタクトも確認できて面白かったです。

次の展覧会でもコラボ企画あり:次回予告編

このART meets MUSICの企画、次回予告もされていたので、東京都美術館の展覧会とコラボする形で続けていくみたいです。来年の日程がパンフレットに書いてありました↓ 。

東京都美術館と都響のコラボ演奏会、次回予告。

東京都美術館と都響のコラボ演奏会、次回予告。

2019年2月28日(木)11時から、東京都美術館の次回企画展「江戸絵画ミラクルワールド」(https://kisou2019.jp)とのコラボ演奏会の告知です。

東京都美術館に足を運んでこの演奏会の整理券を手に入れる煩わしさはあるものの、美術館の半券のみで聞ける割には演奏会のクオリティが高く、コスパ最強なので、興味ある方はスケジュール確保です!

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