東京緊急事態宣言日記12:新型コロナウイルス専門家会議のコミュニケーションが急速に進化中

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昨日、新型コロナウイルス専門家会議の会見を見た。最近はYoutubeのおかげで会見の模様がいつでもノーカットで見られるので重宝している。専門家の生の声がメディアを介さずに聞けるので貴重な機会だと思い、毎回チェックしている。

これまでの専門家委会議の資料は厚労省のウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00093.html)にまとまっている。これを時系列に見てみると、専門家会議の情報発信がここ1ヶ月ほどで急速に進化しているのが分かる。

自粛ムードが緩み、桜の開花もあって多くの人が外出した3月の三連休(3/20~22)の前日、3/19に出された専門家会議の見解はテキストのみで、会見も口頭+質疑応答のみであった。ここで「人と人との接触をできる限り絶つ努力」と「3密条件が同時に重なる場を避ける」必要性を訴えたが、結果的には三連休で感染が拡大、3月下旬~4月上旬に感染確認者が急増するという事態を招いた。ここからの専門家会議の進化がすごい。4/5にはnoteでコロナ専門家有志の会としての情報発信を開始(https://note.stopcovid19.jp、同時にTwitterアカウントも)、一般人に広く伝わる形で発信を続けている。このnoteの発信内容は本当にメッセージがシンプルで分かりやすく、ハッシュタグを使いながらSNSでうまく拡散していて、感染防止マーケティングにかなり成功しているんじゃないかと思う。広告代理店が入っているのかな…。

そして昨日(4/22)の会見。まずは発表のしかたが進化していた。これまでの口頭説明&質疑応答だけでなく、パワーポイント資料を前に映しながらデータを見せつつ説明していて、とても聞きやすく内容がすっと頭に入ってくる。極めつけは「人との接触を8割減らす、10のポイント」というシンプル・明快な資料である。

4/22 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議資料より引用

4/22 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議資料より引用

これはもうメディアや個人に対して「これを切り取って拡散してください」と言わんばかりの資料である。事実、会見の翌日(今日)のワイドショーではこの資料が画面に映されて報道されていたし、SNSでもこの画像がきっちり拡散されている。これは上手いなぁ。メディアが好きなように情報を切り取って報道するのなら、それをを逆手にとってメディアが切り取りたくなる形で資料を発信すればよいのだ。専門家会議の先生方は多忙を極めているだろうに、情報発信のPDCAがうまく回っていてすごいなあと思っている。

「人との接触を8割減らす、10のポイント」には「オンライン帰省」とか、メディアが見出しにしたくなるようなキャッチコピーが散りばめられているし、イラストが入っていて親しみやすく、子供でも分かるように工夫されている。どうでもいいけど、このイラストっていらすとやだよなぁ…と思ってサイトを見てみたら、「アマビエ」とか「ビニールシート越しにレジを打つ店員のイラスト」とか新型コロナ関係のイラストが充実していて仕事が早いなぁと感服した。いらすとやさんは社会貢献してるな…。

この「10のポイント」、とてもやわらかく書いてあるけれど、端的に言うと専門家会議のメッセージは下記のようなものになると思う。

  • GWに帰省するな
  • スーパーに家族総出で行くな
  • 集団でジョギングするな、公園で集うな
  • 買い物は基本通販に
  • 集まって飲み会するな
  • 医療機関へ行くのは最小限に
  • スポーツジムへ行くな
  • 食料品はデリバリーやテイクアウトを使い、スーパーの買い物の頻度を減らせ
  • 仕事は家で。満員電車に乗るな
  • 会話するならマスクがマスト

結構要求事項が多いけれど、ここまで踏み込んだメッセージを出すということは、もはやこれまで認められていた散歩や生活必需品の買い物ですらリスクが高くなっているという専門家のメッセージなので、重く受け止めたい。会見ではその根拠データも示されていた。(パワーポイント資料がわかりやすい)携帯電話の位置情報データ等の解析結果では、自粛の成果は認められるものの、目標としている対人接触8割減に到達したことを担保する根拠が得られていないとのこと。つまり自粛レベルをもう一段上げなければ、緊急事態宣言の延長も十分ありうるということだ。ざっくり言えば、とにかくできるだけ家から出ずに仕事、生活必需品の調達、運動をすることが求められているので、なんとか工夫してみたいと思っている。

これまでにも災害があると、政府の会見や各種メディアで専門家が登場していたけれど、今回の新型コロナウイルスでは専門家が直接一般人にかなり寄り添った情報発信をしてくれていてすごいなあと思っている。こんなに専門家を身近に感じたのは初めてだと思うくらいである。多忙な中、これだけしっかりPDCAを回して一般人向けの情報発信を進化させてくれているのだから、もう少し自粛を頑張ろうと個人的には思った。4/22の専門家会議会見は、全国民がGW前に見るべきではないかと思う。