太田記念美術館に新しいパスポートを見に行ってみたら、クールジャパンが集合した和の癒し空間だった話

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太田記念美術館で、新パスポートのサンプルが展示中

流行の発信地、表参道のど真ん中。ラフォーレ東京の裏手、メインストリートから一本入った静かな場所に、太田記念美術館があります。ここは東邦生命相互保険会社の社長を務めた太田清蔵氏が収集していた12000点超の浮世絵コレクションを展示している美術館です。展示内容は毎月変わるため、常時すべての作品が見られるわけではありませんが、浮世絵専門の美術館として様々な時代・作家のバラエティーに富んだ浮世絵を鑑賞できるのが魅力です。

太田記念美術館・外観。 (筆者撮影)

太田記念美術館・外観。
(筆者撮影)

現在、葛飾北斎の没後170周年を記念して「北斎ー富士への道」(公式サイト:http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/exhibition/hokusaifuji)が開催されており、「冨嶽三十六景」をはじめとした、富士山を描いた北斎作品とともに2020年から北斎の浮世絵デザインに変わる日本国パスポートのサンプルが展示されています(2019年5月26日まで)。新パスポートのサンプルは、美術館の地下にある第3展示室に、外務省の説明パネルとともに展示されています。お見逃しなく。

葛飾北斎作  富嶽三十六景 神奈川沖浪裏 (メトロポリタン美術館) 

2020年、日本国パスポートのデザインが北斎の浮世絵に。東京オリンピックを控え、外務省の粋な問題解決が最高。

査証欄に、見開き1ページごとに北斎の浮世絵がデザインされています。色合いも美しく、査証スタンプを押すのがもったいないと思うほど。新しいパスポートの受付開始が待ち遠しい限りです。

その一方で、私が興味を持ったのは、外国人観光客が大挙して太田記念美術館を訪れていること。それほど大規模な美術館ではないにもかかわらず、来場者のほとんどが外国人で、平日でも大混雑。どうしてこんな有名観光スポットになったのか?!と疑問に思ったのですが、実際に展示をすべて回ってみて納得がいきました。ここは、クールジャパンを結集した、日本の魅力を余すところなく体験できる場所だったんです。

太田記念美術館はまさにクールジャパン。人気の理由4つ

①枯山水の石庭&小上がりの和室が展示室内に

この美術館の最大の特徴は1階の第一展示室でしょう。なんと展示室内に日本庭園と、靴を脱いで上がる和室スペースがあるんです。

太田記念美術館 枯山水の石庭と和室のある展示室。

太田記念美術館
枯山水の石庭と和室のある展示室。

上図は、筆者の記憶を元に、第一展示室のレイアウトを描いてみたものです。受付入ってすぐの展示スペースが第一展示室になりますが、展示室中央に枯山水の石庭が鎮座しており、周囲に浮世絵が展示されています。小上がりの和室もしつらえてあり、ここに展示されている作品は靴を脱いで上がってから鑑賞するようになっています。石庭には椅子が設置されており、座って浮世絵を眺められる趣向になっています。石灯篭や竹もあり、とても風流な空間です。

枯山水の石庭とともに浮世絵を鑑賞できるなんて、外国人に人気の日本文化をド直球で訴求しています。これは人気が出るよね、と納得。

②貴重な浮世絵コレクションをほぼ通年で展示

太田記念美術館のコレクションは、公式サイト(http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/collection)にまとまっています。有名絵師(喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川広重など)の作品が所蔵されていますね。さらに、それらが常時展示されていることが大きな魅力でしょう。年間スケジュール(http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/exhibition/schedule-2)を見ると、展示替え期間で1ヶ月に1週間程度の休館はあるものの、様々なテーマに沿って浮世絵作品が入れ替わりで展示されています。いつ行っても有名な浮世絵を見ることができるのは、この美術館が提供している最も大きな価値のひとつです。

③立地が最高

最近、原宿で多くの外国人観光客を見かけますが、原宿の魅力とは何でしょうか。以前外国人の知人と話していた時、「原宿はパラドックスの街。そこが魅力的だ」と言っていました。原宿の西側には日本の伝統文化の象徴である明治神宮がある一方で、駅を挟んで東側はファッションの最先端であり、”kawaii”文化であふれています。原宿に共存する伝統的文化と新しい流行の対比が逆説的で、外国人にとってはとても興味深いようです。

太田記念美術館のロケーションは、ラフォーレ原宿のすぐ裏手。人気観光スポットである原宿の中心に位置し、ショッピングや観光のついでに立ち寄れる利便性も大きな魅力のひとつです。

④ミュージアムショップは手ぬぐい専門店

太田記念美術館には手ぬぐい専門店「かまわぬ」原宿店が併設されており、館内から直接店内に入れるようになっています。当然浮世絵柄の手ぬぐいもあるわけです。これは散財してしまうなぁ。

太田記念美術館に併設の「かまわぬ」。

太田記念美術館に併設の「かまわぬ」。

まとめ:日本庭園で浮世絵を見るという、ここだけの楽しみ

展示室内にこれだけの趣向を凝らした美術館を初めて見ました。石庭にある椅子に腰掛けて、室内を見渡すと、そこには浮世絵の名品が。視線を部屋の奥へ移すと和室スペースがあり、そこに座って壁面の浮世絵を見ることもできます。これほど風流で一石二鳥な空間はなかなかありません。それに加えて立地の良さも相まって、多くの外国人を惹きつけているのでしょう。

浮世絵と枯山水石庭を、原宿にある美術館の空間内で楽しめることが、太田記念美術館の最大の魅力。外国人を連れて行くのにうってつけの美術館です。もちろん日本人でも、浮世絵好きの方はもちろん、「日常を忘れて、たまには和の空間でゆっくりしたい」という方には、本当にお勧めの美術館です。