東京緊急事態宣言日記22:新型コロナウイルスで学校はどこまで変われるか?

新型コロナウイルスで学校には未曾有の事態が降りかかっている。わたしの住む東京都では3月頭からずっと休校が続いている。そのうえ4月7日には緊急事態宣言が発令され、さらにそれが5月31日まで延期され、結果的に学校はまる3ヶ月休校ということになった。新型コロナウイルスの特性を考えれば、学校の休校が長引くことは仕方ないと理解している。このウイルスはステルス戦闘機のような性質を持っている。無症状でもヒトーヒト感染を広げ、気がついたら感染爆発していて医療崩壊してしまう…というのがこのウイルスの怖さであり、厄介な点である。これまでの知見を見る限り、特に子供たちに対してこのウイルスはステルス性を発揮している。子供は感染しても症状がまったく出ないか、とても軽症であるため、知らず知らずのうちにウイルスを広める運び屋になってしまう。だから学校を再開してしまうと子供たちの周りに感染が広がり、再び感染爆発を招いてしまう可能性が高い。したがって、たとえ子供が重症化するリスクが少なくても学校再開には慎重にならざるを得ないのは当然だろう。その一方で、年度をまたいでの休校となったため、前学年の勉強が終わらないまま進級ということになり、学習をどうやって進めていくのか…と学校も家庭も大混乱している。

わたしの子供が通う小学校はどうなっているのかというと、3月~4月中はとりあえず急場しのぎのプリントが配られ、それをやってくださいという感じ。まぁいつもの通り丸つけも復習も親に丸投げだけれど、量が少ないのでまだどうにかなる範囲だった。夏休みの宿題のようなプリントをこなす感じで、丸つけ以外の親の負担はなかった。どうせ3月下旬からは春休みに突入するんだし、4月中には休校措置が解かれるかもしれないし…という希望的観測がうっすらと感じられる対応だった。しかし、事態は悪い方向に進んでしまった。新年度になってもさらに2ヶ月の休校が決まってしまったので、さすがにこれは学習スケジュールに大きく影響してくるよね…と学校側はさすがに危機感を持ったのだと思う。緊急事態宣言の延長が決まった5月のGW明け、学校側がどんな施策を打ち出してくるのかと思ったら、まさかの家庭に丸投げという衝撃のソリューションであった。

新年度を迎えてしまったので、新学年の学習をスタートせざるを得ない。そこで教科書を見ながら穴埋めできるようなプリントを作り、自学自習で新しい内容が頭に入るように一応工夫がされていた。また、5月末までのスケジュール表が配られ、学校の時間割表のような形で何日のこの時間帯はこのプリント・このドリルという感じでスケジュールが決められた。まぁ、生活リズムを作るという意味ではいいのだけれど、これによって親の負担は爆増した。未習分野に取り組むことになるし、教科によっては複数の教材を参照しないと進まないものがある。教科書だけでなく、資料集や地図帳など。問題の答えが配布された教材に載っていない、なんてこともある。そういうものは適宜家庭でサポートしなければならない。しかも、この非常事態なのにもかかわらず、学習指導要領にきっちり従うためなのか、図工や音楽などの実技系科目も通常の時間割と同じ時間数を組み込んでいる。まぁ気分転換にはいい科目だと思うので、自由工作とか好きな歌を歌うくらいにしてくれれば良いものを、きっちり教科書の内容を実行するよう家庭に要求してくるので非常に困る。たとえば音楽なら、「教科書に載っている文部省唱歌を聞いて歌いましょう」となっており、いちいちYoutubeで再生して聞かせなければいけないし、挙げ句の果てに「様々な楽器について調べてワークシートにまとめましょう」という重めの課題がブチ込まれている。打楽器、弦楽器、管楽器…などいろいろな楽器に興味を持って調べて欲しいという意図は分かるけれど、夏休みの自由研究レベルの課題を丸投げられても家庭の負担は爆増するので、非常事態なのだからもう少し課題のレベル感を調整して欲しいと思う。理想は双方向のオンライン授業の実現(課題もオンライン提出)だと思うんだけどなあ…。

先日担任の先生から電話があったので話を聞いてみると、オンライン授業は東京都や教育委員会の検討が終わらないと現場では動けないとのこと。感染症の蔓延というこれだけ明確な必要性があるのに、休校開始から2ヶ月経過しても上層部で意思決定されず、現場に降りてこないのか…と絶望的な気持ちになる。現場の学校の先生を責めても仕方がない。これは上層部の問題なのだから…

オンライン授業の整備が遅々として進まない中で、現場の先生方ができるだけ子供たちの学習を進めようと努力した結果が手書きのプリントとスケジュール表、そして進捗管理はほぼ家庭に任せるというソリューションである。もちろん子供の教育は大事だと思っているので、できるだけ家庭でも協力したいとは思う。その一方で、新型コロナウイルスとの戦いは確実に長期戦になるし、何度か休校を繰り返す可能性も高いので、いつまでもこのやり方を続けられるわけではない。今のところ我が家はどうにか回しているけれど、家庭によってはこんなに細かくフォローできないところも多いんじゃないかと思う。例えば親御さんが医療従事者だったら?コロナの患者に最前線で対応して、帰ってきて学校から丸投げられた子供の勉強を見る…なんて無理ゲーではないだろうか。義務教育は等しくすべての子供が同じ教育を受ける権利を保障しているはずだけれど、こんな状況では家庭環境によって教育格差がますます生じてしまうことだろう。

というわけで文部科学省と東京都教育委員会に、1日も早い双方向オンライン授業の環境整備をお願いしたい。非常事態なのだから、懸念点はさておきとにかくやってみることが大事である。オンライン授業が始まったとしても親のサポートは必須になるし、初めての試みなのだから失敗することもあるだろうが、この種のサポートであれば親として積極的に支援したいとわたしは思っている。オンライン授業で感染症のリスクを下げながら学びを続けることは、テクノロジーで社会問題を解決するいい練習となり、子供が社会に出てからも役に立つ経験だと思うからだ。