東京緊急事態宣言日記5:スーパーやコンビニの変化と、ネットスーパーの配達枠争奪戦

緊急事態宣言の発効から1週間が過ぎた。近所の様々な店舗でもあれこれ試行錯誤していたようだが、ようやく対応が固まってきたらしい。緊急事態宣言中は臨時休業を決めた居酒屋、デリバリーのみの営業としたレストラン、営業時間を短縮した雑貨店など、それぞれの考え方で外出自粛要請に協力している。強制力のない「要請」だけで自主的にここまでの対応ができるなんて、日本人って改めてすごいよなぁと思う。

生鮮食料品を買おうと思い、1週間ぶりに駅前のスーパーへ買い出しに出かけた。営業はしていたけれど、食料品フロアとドラッグストア以外はクローズしていて真っ暗だった。東日本大震災のときでもこんな状況は見たことがない。非常体制である。食料品フロアへ向かうと、カゴを消毒してから配る専門の店員さんが入口に立っていた。目的もなくふらっと店舗に入れる雰囲気ではない。

売り場へ向かうと、商品の売り切れなどはなかったが、棚の間の通路には人、人、人。2mのソーシャル・ディスタンスを取るようにという専門家からの推奨があったけれど、そんなの到底守れないと思うくらいの人混みである。レジの前には線が引かれ、会計待ちの列に隙間が空くように工夫されていたけれど、そもそも売り場で頻繁に人とすれ違う状態なので意味があるかどうか…。まあ、近隣の事情を考えれば無理もない。そこそこ人口密度の高い地域だし、テレワークや外出自粛の影響で、地元を離れて仕事、学校、遊びに出かける人が減っている。飲食店もクローズしているので、みんな自宅で食事する。そうなれば駅前のスーパーでたくさんの人が買い物することになるのは必然だ。品出し、消毒作業、レジなど、たくさんの従業員の方が店内にいたけれど、こういう労働環境で働く方々はかなりリスクが高いのではないかと懸念してしまった。そんな状況でも休まず営業してくれていて感謝しかない。新型コロナウイルスとの戦いは長期戦になりそうだし、従業員を守るためにセルフレジだけでも早く導入したほうがいいんじゃないだろうか。スーパーの従業員の方にうつさないためにも、自分を守るためにも、買い物の頻度を減らし、できるだけ宅配にしないとダメだなと思った。

いつも通っていたスーパーだけれど、しばらくここで買い物するのはやめようと思い、何も買わずに店を出た。家路につきながら考えた。いや、違う。スーパーに人が溢れていると感じたけれど、あの混雑はこのくらいの時間帯なら普通の人出だ。むしろ平時に比べたら少ないくらいかもしれない。自分自身の認識が変わったのだ。たくさんの人で賑わうスーパーの店内は、以前なら「繁盛しているな〜」とか、「活気があるな〜」とか好意的に受け止めていたのが、今や「これって3密だよな…」とか「ソーシャル・ディスタンスなんか全然取れないな…」と懸念や恐怖を感じるようになってしまったのだ。

そうは言っても食べ物は買わなくてはいけないので、結局自宅近くのコンビニに立ち寄った。スーパーよりは少し割高になるが仕方ない。ずっと家に引きこもっていたので、コンビニへ行くのも1週間ぶりである。入店すると、レジカウンターの天井から透明な分厚いビニールフィルムが下がっており、店員と客の間が仕切られるように改造されていた。飛沫の飛散防止とのこと。最初はぎょっとしたけれど、逆にこのくらいの対策をしてくれた方が安心して買い物できるなと思った。結局ここで買い物をして帰宅。それにしても、スーパーやコンビニの日常風景がここまで変わるとは…なんだか1週間外出しなかっただけで浦島太郎になってしまった気分である。

コンビニで買えなかった食品はネットスーパーで頼めばいいか、といつものようにネットスーパーにログインすると、ここでも異常事態が起こっていた。ふつうは24時間いつでも注文でき、最短で当日、遅くとも翌日の配達枠を頼めるのだが、2日後までの配達枠まで既に埋まっている状況であった。そしていつでも注文できるわけではなく、これから受け付ける注文枠は3日後の配達分で、夕方17時から注文開始とのこと。こんな状況は初めて見たのでPCの前でビックリしてしまった。これは注文開始時間にオーダーが殺到するぞ…と思い、作戦を練ることにした。

まずは事前に買うもののチェックリストを作る。おそらく、ログインしてからあれこれ選んでいるうちに配達枠が埋まるだろうと思ったからだ。そして注文開始時間の10分前からPC前で待機。事前ににログインしておき、注文開始時間になった瞬間にブラウザを更新、チェックリストに従って手早く商品をカートに入れていく。案の定、時折ページがフリーズする。たぶんネットワークの向こう側にはたくさんの人がいて、わたしと同じように必死で注文しているのだろう。ネットスーパーで配達される品目がかなり絞られていて、いつもと同じものは買えないが仕方がない。とにかく必要なものをすべてカートに入れたら、すぐに決済して注文確定。注文開始からここまで、わずか15分。注文確定ボタンを押してから、完了画面が出るまでしばらく待った。ネットワーク上で熾烈な配達枠争奪戦が行われている。ようやく注文完了画面が出てログアウトしたけれど、配達枠はギリギリ。残りわずかとなっていた。

普通に食料品を買うだけなのに、なんだかサバイバルゲームのような状況となっていて疲れてしまった。コロナ後の世界は大きく変わる、といろいろな人が発言しているけれど、確かにそうかも知れないと思った。住む場所の人口密度、物流の強さ、生鮮食料品入手の容易さは感染症パンデミックでのサバイバルに大きな影響を与える。もしこれからも新興感染症が定期的に蔓延するのなら、感染リスクの高い都心部に住むことの価値が下がり、郊外に庭つきの家を持って自宅の家庭菜園で自給自足、という暮らしが最強になるのかもしれない。