【ルーベンス展2018感想】躍動感あふれるナナメ表現を自家製ベルギーグルメと楽しむ

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芸術の秋を楽しむ:ルーベンス展感想

私がアート好きになったきっかけの一つは、ルーベンスの絵に出会ったことでした。大学2年でそこそこ単位を取り終わって暇だった頃、友人に「面白い授業あるよ」と誘われて行ってみた授業が「西洋美術史」。先生はバチカン・システィーナ礼拝堂の天井画(ミケランジェロ作)の修復作業に携わった方で、理系学生だったにも関わらず潜り込んで毎週聴講し、そこで宗教画の見方などを教わったことでアートにハマっていったのでした。学期末、「キリスト教美術を何か一つ選んで自由に論述せよ」とのレポートが課され、そこでレポートを描くために選んだのがルーベンスの「キリスト昇架」でした(トップ画像)。この絵を選んだ動機は、「『フランダースの犬』で主人公ネロが見たがっていた絵だったから、という程度だったと思いますが、調べれば調べるほどルーベンス絵画の魅力に惹きつけられていきました。今回ルーベンス展(国立西洋美術館)に行って様々な作品を鑑賞して、自分が好きなのはルーベンスの「ナナメ構図」から生み出される躍動感なんだなと改めて実感しました。

人物を画面に対してナナメに配置する→場面に引き込まれる臨場感

長方形の画面の対角線上に人物を配置することで、圧倒的な臨場感を表現しているのが「キリスト哀悼」です。

キリストが十字架に架けられた後、関係者が死を悼んでいる様子が描かれていますが、キリストの体が画面の対角線上に配置されており、鑑賞者がキリストの足元~右側に立つような構図になっています。画面に出てくる関係者とともに、鑑賞者もキリストの死に立ち会っているような錯覚を覚える効果が生まれており、自然と画面に引き込まれていくのです。

登場人物の心理をナナメのラインで表現している?!

「パエトンの墜落」はワシントン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する、門外不出の名作です。今回日本で見られて本当にラッキー。

ギリシア神話では、日の出から日没まで太陽が空を動くのは、太陽神アポロが駆る戦車が天空を翔けているからだと考えられていました。ある日、アポロの息子パエトンが「父の戦車を借りたい」と言い始め、仕方なくアポロが貸したところ、パエトンは戦車を御しきれず太陽の戦車が暴走し、地上は炎に包まれ、海や川は干上がり大混乱。最終的には様々な神々から全能の神ゼウスにクレームが寄せられ、ゼウスが放った稲妻でパエトンは墜落させられてしまったという神話に基づいた絵画です。

パエトンは父のような偉大な神の仲間入りをしようと、画面左下から右上に向かって斜めに上昇しようとしていた様子なのですが、右上から雷が打たれ、まさに真っ逆さまに墜落していく場面です。実は、パエトンが父の戦車を借りたいと申し出た理由は、友人からからかわれてプライドを傷つけられたことでした。「太陽神の息子だなんて、嘘だろう」と言われたことに腹を立て、友人を見返すために父の真似をしたかったのです。その上昇志向を、画面右上に向かって天へ上がっていこうとする動きで見事に表現しているのかな?と勝手に妄想しています。墜落していく人間や馬も、多くが画面に対して斜めに配置され、鑑賞者が下から見上げているような臨場感があります。

動作の一瞬を切り取ったナナメ表現

「マルスとレア・シルウィア」こちらはローマの建国伝説に基づく作品。

軍神マルスが巫女であるレア・シルウィアに迫っている様子なのですが、二人とも身体が画面の垂直報告に対して斜めになっており、勢いよく迫るマルスと、巫女であるがゆえにマルスを拒もうとするレア・シルウィアが身を引いている動作が、動画の一場面を切り取ったような緊迫感を感じさせます。

多数のルーベンス作品を同じ空間で鑑賞でき、大満足の美術展でした。さて、次はベルギーのグルメもこの際併せて楽しもうと思います。

食欲の秋!ベルギーグルメを自宅で再現

ルーベンスは痛風を患っており、一時期痛風で絵筆がとれないこともあったとのこと。売れっ子画家で裕福だったようなので、もしかしてベルギービールやベルギーグルメを堪能していたのでは…と妄想しています。

先日国立西洋美術館のレストランで、限定のベルギー郷土料理ワーテルゾーイを食べて美味しかったので(関連記事はこちら)、ネットでレシピを調べて自宅でも作ってみました。

もちろん、お供はベルギービール(CHIMAY WHITE)。オレンジピールが入っているので、ドイツタイプのビールより後味がすっきり爽やか。とても飲みやすいのですが、アルコール8%なのでうっかり飲みすぎ注意。ルーベンスもこういう食事をしていたのかなぁ、と妄想しながら芸術の秋と食欲の秋を堪能するのも楽しい。

ルーベンス展公式サイト(https://www.tbs.co.jp/rubens2018/event/#goods)によると、ルーベンス展の半券提示でベルギービール2杯目となるキャンペーン実施中とのこと。ベルビービールは、青リンゴやカシスなどフルーツビールも豊富なので色々な種類を楽しみたい…ということで2杯目無料は嬉しい!要チェックです。