東京緊急事態宣言日記27:ピーター・ドイグ展の無料VRで、ダイナミックな風景画を楽しむ

新型コロナウイルスの影響で美術館へ行けない中、ミュージアムのVR公開がだんだん増えてきましたね。科博VR、岡本太郎美術館VRに続いて、本来なら国立近代美術館で2020年2月26日~6月14日まで開催予定だった「ピーター・ドイグ展」もVR映像を無料公開しているとの情報を得ました。ピーター・ドイグはイギリスの現代アーティストで、風景画を数多く制作しています。本展は日本で行われる初めての個展ということで注目されていたにもかかわらず、新型コロナウイルスの影響でほとんど公開されないままになっているようです。これは悲しい…。こうした状況を受け、展示室の3D-VR映像が2020年5月18日に無料公開されました。一応会期は6月14日まであるようなので、5月末で東京の緊急事態宣言が解除されれば実物を見られる可能性も残されているのですが、今後のことはどうなるかわからないのでさっそくVRを見てみました。

ピーター・ドイグ展VRを見る方法

VRゴーグルなしで3Dビューを見る

科博VRや岡本太郎美術館と同様、VRゴーグルがなくても3Dビュー画像はスマホやPCからでも見ることができます。

ピーター・ドイグ展公式ウェブサイト(https://peterdoig-2020.jp)トップページにある3Dビュー画面で再生ボタンを押すだけで、Googleストリートビューのような形で展示室の3Dビューが見られます。進みたい方向の床面をクリックすると、その方向に進んでいき、見たい作品については作品そのものをクリックすると、正面までかなり接近した画像が見られます。振り返って少し後ろに下がれば、遠くから作品を見ることもできます。近づいて作品の細部をみたとき、遠ざかって全体像を見たとき両方の体験ができるのは、実際の鑑賞体験に近いのでいいですね。もうひとつこの3Dビューの良いところは、作品タイトルが画面上に埋め込まれていること。作品の右下、キャプションのある場所の◎マークをクリックすると、作品タイトル、制作年、所蔵元が出てきます。これは便利!

VRゴーグルを装着して展示室を体感する

わたしはOculus goを使って見ました。ブラウザモードでピーター・ドイグ展公式ウェブサイト(https://peterdoig-2020.jp)トップページを表示したら、3Dビュー映像の再生ボタンをクリックします。読み込みが終了したら、下部のENTER VRボタンをクリックするとVR映像がスタートします。

展示室を進むときは、行きたい方向の床面をトリガーボタンでダブルクリックすると進みます。3Dビューと違って、VR画面では展示作品のタイトルは見られないようですね…ブラウザやVRゴーグルの種類によるのかもしれませんが。作品をクリックすると接近し、後ろを向いて下がって遠くからも見られる仕様は3Dビューと同じです。ちなみにピーター・ドイグ展公式サイトにはスマホ用サイトとPC用サイトがあり、スマホサイトを表示した場合はVR映像が見られなかったので注意。Oculus goのブラウザ画面の右上のボタンを切り替えて、PCサイトを表示してから3Dビューを起動するとうまくいきました。

おすすめは、3DビューとVRの両方を併用して楽しむことです。3Dビュー画像で作品のタイトルを確認しつつ、VRで実物のスケール感を体感すると実物を美術館で見たときの体験に近くなると思います。大型のパネル解説がVRでバッチリ見えるのはいいですね。欲を言えばVR画面でも個々の作品タイトルや解説が見られれば満点なんだけどなあ…。

VRでも存分に伝わる、ピーター・ドイグの風景画のスケール

VR映像で見ると、ピーター・ドイグの作品は大型のものが多いことに気づきます。床面から天井いっぱいまで達するような作品もかなりありますね。大型作品なので、多少VRの解像度が低くても近づけば結構細部まで見えます。接近して見ると、ジャングル、水面、雪、草原、空など自然の風景が、さまざまな色やストロークを用いて表現されていることがわかります。ジャングルの中に紫色があったり、雪の中に緑色が見えたり…水彩のような塗り方や、油絵の具をそのまま塗ったかのような力強い筆遣い。こうした細部のメリハリが、遠くから全体を見たときのミステリアスな魅力につながっているのかもしれません。

また、画面の大きさ以上に奥行きを感じるのが遠近法です。たとえば展覧会ポスターにも使われている《ガストホーフ・ツァ・ムルデンタールシュペレ》では、美しい星空の下、モザイクタイルのような石壁に挟まれた門扉に二人の人物がたたずんでいます。カラフル石壁がゆるやかなカーブを描きながら画面右奥に消えていく構図が印象的な作品です。この構図のおかげか、画面の大きさ以上に奥行きを感じます。そしてこの空間的な奥行きが、絵画の物語にも深みを与えているようにも思えます。この二人の人物は誰なのか?そしてモザイクに彩られた石壁の道はどこへ続いているのか…?鑑賞者の想像を果てしなく広げてくれる作品です。

新型コロナウイルスの影響で展示を十分に行えなかった展覧会は多くあります。実物を前にしたリアルの体験には及ばないかもしれませんが、長い時間をかけてせっかく企画された展覧会をVRでよみがえらせるのはいい取り組みですね。無料で見られるのが申し訳ないくらいです。本展に限らず、他の展覧会でも同様の取り組みがあればぜひ応援したいと思います。

ピーター・ドイグ展

会期:2020年2月26日〜6月14日(予定、現在新型コロナウイルスの影響で休館中)

会場:東京国立近代美術館

公式サイト:
東京国立近代美術館:https://www.momat.go.jp/am/exhibition/peterdoig/
展覧会特設サイト:https://peterdoig-2020.jp