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金沢21世紀美術館の主役アート、「スイミング・プール」を見に行ってみた
金沢に行く機会があれば絶対に訪れたいスポット、金沢21世紀美術館(https://www.kanazawa21.jp)。ここは美術館・博物館入場者数ランキング(2017年)によれば東京の国立新美術館についで、入場者数国内第2位を誇る美術館です。なぜこれほど人気なのでしょうか。おそらく、この作品が多くの人を惹きつけるからでしょう。レアンドロ・エルリッヒ作「スイミング・プール」(2004年)。
まずは作品を上から見たときの画像。ここは屋外(中庭)の展示で、チケットを購入しなくても無料で見ることができます。一見、なんの変哲も無いプールに見えますが、覗き込んでみると水中に人が見えます。
水底にいる人は、泳ぐわけでもなく、浮いてくるわけでもなく、普通に歩いています。水のゆらめきで水底にいる人の表情までは分かりません。手を振ってみると応えてくれるので、水を通してお互いの身振り手振りはわかるくらい。水ごしに知らない人とコミュニケーションできるのが楽しい。一体下からはどう見えるのだろう?中に入ってみたい!とワクワクしてくるのです。
入場料を払って地下通路を進んでいくと、プールの中に入れます。中の様子はこんな感じ。
ホンモノの水の中でも、水中から上を見上げたら、こんな風に見えるのでしょうか。
なんだか脳が混乱するような、不思議な感じがしてきます。明らかに自分はプールの水中にいるはずなのに、水着ではなく普通の服で、水に濡れることもなく、浮力を感じることもなく立っているのです。目から入ってくる「ここはプールの中だ」という情報があるにもかかわらず、体のまわりにまったく水を感じないので、不思議な感じが湧いてくるのだと思います。この日は残念ながら天気が悪かったのですが、天気が良いと日差しが差し込んでプールの底に水のゆらめきが映り、とても綺麗なのだそうです。晴れた日にまた来たい…。この作品を楽しむのに、アートに対する専門知識は全く必要ありません。
これなんだろう?どういう仕組みなんだろう?面白い!楽しい!不思議!
作品を見て、ただ感じればいいのです。
予備知識なく見られて、大人も子供も楽しめる。好奇心や想像力を掻き立てられる。誰でも気軽に楽しめるアートだからこそ、この作品が大人気になっているのだと思います。
さて、この作品はプールの水面部分に透明な板が貼ってあり、その上に水を10~20cmくらい張ることによって、水中にいるような感覚を味わえる仕組みになっています。実際に見に行ってみると、それ以外にも細かな仕掛けが作品全体の視覚効果を高めていることに気づかされます。私が気づいたのは、おもに下記3点。
仕掛け①:水面は常に波立つようになっている?!
プールを上から覗いた写真で、水面に注目してみてください。水面が常に波立っていることに気づきませんか?最初は風で水面が揺れているのかな?と思ったのですが、ここは中庭でほぼ無風状態。時間をおいて何度か見てみたのですが、いつも水面は揺れています。これは少量の水で「水中感」を演出するための巧妙な仕掛けではないかと思っています。表面の水の水深は10cm~20cm程度。これでは、地上から見た時に水底にいる人が多少屈折して見えるものの、ある程度くっきりと水底まで見えてしまい、深いプールの感じが出ません。また、どうしても水を張っている透明な板の底が肉眼では見えてしまうので、仕掛けがすぐにバレてしまいます。そこで、常に水面に波を起こす仕組みを作り、「ホンモノのプール」感を出しているのではないか?!と推測しています。
また、金沢は雨が多いため、作品の水面に雨粒が小さな水紋を作る様子をたびたび見ることができます。金沢の気候が作品に新たな表情をプラスしているのです。雨の日に見るのも味がありますよ。
※雨天時は地上部分(プールの上部)からの鑑賞が制限されるので、悪天候の時は要注意。
仕掛け②:プールの深さは、手前と奥で異なっている
地上で上からプールを見た後、プールの底へ行くと、「あれ?上から見たときよりも中の方が大きく見える!」ということに気づきます。これは極端な遠近法を使って、内部を広く感じるように見せているのです。もう一度プールの中の写真を見てみてください。
手前から奥に向かって、プールの水深が浅くなっていることに気づきませんか?実際に一番奥の、プールの手すりまで行ってみると、奥に向かってかなり急な上り坂になっています。これを遠近感として人間の目が捉え、実際よりも広く感じるんですね。
仕掛け③:地上からプールの中へ進む通路は、水中へ潜る疑似体験
地上からプールの中へ向かう通路は、階段を降りるだけでなく、長く曲がりくねって作られています。通路にはなんの装飾もなく、薄暗い通路が続いています。これは水中に潜っていく疑似体験のように感じました。その先にぽっかりと明るく口を開けているのが、「レアンドロのプール」入口。入口は小さめに作られているので、必然的にプールに入る瞬間、少しかがんで低い目線から作品を見ることになります。すると、仕掛け②で説明した遠近感を最大限に感じることになるので、入った瞬間作品に圧倒されるんです。考えられているなあと感心しました。
金沢21世紀美術館を代表する作品、「スイミング・プール」。この作品のみ撮影OKなので、インスタ映えする水中写真を撮りつつ、製作者がどんな工夫をしているかにも目を向けてみると面白いですよ。この作品を見るためだけに、金沢へ行く価値あり!と思わせてくれる作品です。おすすめ!!
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